story.37

「失礼、ちょっといいですか?」
「・・・何だね?」
「この辺で、薄紫色の瞳をして白に近い白銀の髪色をしている、10歳位の女の子を見掛けていないですか?」
「いや、見掛けてないな・・・」

ドフラミンゴ達がシルヴィアを救出に向かっている頃、北の果ての各地では海兵達が、センゴクから聞いたシルヴィアの特徴を頼りに、街人達にシルヴィアを目撃していないかと聞き回ったりと、捜索にあたっていた。




「──いいえ、見掛けてないわ。ごめんなさいね・・・」
「いえ、引き止めて申し訳ありませんでした。」

海兵達が色んな人に声を掛けてシルヴィアを目撃していないかと聞くが、中々良い情報が手に入らないでいた。

「そんな目立つ様な容姿をしている子なら直ぐに見つかりそうだから、わたしも探してみるわね。見つけたら直ぐに海軍本部に連絡するわ」
「ご協力感謝します。」

にっこりと微笑んで言った女性に、海兵はビシッと額に手を当てて敬礼をした。





「──という訳なんですが、この辺で見掛けていないですか?」
「あァ、その特徴と一致する子なら見掛けたよ」
「本当ですか!?詳しくお話し願います!!」

海兵が1人の街人に声を掛けると、その街人がシルヴィアを見掛けたと言うので、詳しく話を聞き出した。
そして、聞き出した話を本部で報告を待っているセンゴクへと知らせた。











──海軍本部



海兵達が北の果ての各地でシルヴィアの捜索を行っている中、ロシナンテは本部にあるセンゴクの部屋で、センゴクからの報告を待っていた。

──センゴクさん、まだかな・・・?

そう思ったのは、果たして何度目になるだろうか・・・。センゴクは、いつまで経っても報告どころかロシナンテの様子を見に来る事もなく、そろそろ痺れを切らしそうになっていた。

その時──



「ロシナンテ!!」

センゴクが、ぜえぜえと荒い息を繰り返しながら、ロシナンテがいる部屋に現れた。その様子を見るに、センゴクはこの部屋に来るまでの間、走ってきたのだとわかる。

「センゴクさん!!シルヴィアが見つかったんですか・・・?」
「その事なんだが、君が言っていたシルヴィアという子の特徴と一致する子を見掛けたという人から話を聞く事が出来たと、捜索をしている海兵から今報告を受けた!!」
「本当ですか!!?」

ロシナンテは、センゴクの報告を聞き、目を輝かせてセンゴクに詰め寄った。

「シルヴィアはどこにいるんですか!!?」
「幸いな事に、まだ本部近くの北の果て付近にいるらしい!!」
「よ、良かった・・・っ!!」
「──だが、″一つ問題″がある」
「な、何ですか・・・?」

センゴクの報告を聞いて安心してほっと溜息を吐いたロシナンテだが、深刻そうな顔をして一つ問題があると言ったセンゴクの言葉に、ロシナンテは不安になった。

「その子を買い取った者が、アランという上流貴族らしいんだが、最近悪い噂を耳にするんだ」
「!?アランという人なら知ってます!!でも、悪い噂・・・?アランは好青年のはずじゃ・・・?」
「ロシナンテ──上面だけ良い奴には、必ず″裏″があるものなんだ。」
「・・・、・・・」

ロシナンテは、あくまで噂でしかないのにそれだけで判断するのもどうかと思ったが、センゴクが言った上面だけ良い奴には必ず裏があるという言葉には、妙に説得力があると感じた。

「その耳にした悪い噂とは、一体どんな・・・?」
「アランが人体実験や人身売買、武器の密売等を行ってるという噂だ」
「!!?」

という事は、センゴクが言った問題点とはもしや、噂が本当だったとしたら、シルヴィアの身に何か良からぬ事が、起きているかもしれないという事か・・・。そう理解した途端、ロシナンテはさあっと血の気が引くのを感じた。

「そ、そんな・・・っ!!」
「今そこにいる海兵達に救出に向かわせているから、おれ達も急ごう!!今回の救出の目的には、アランを捕らえる事も含まれている!!」
「は、はい!!!」

センゴクの言葉に、ロシナンテは深く頷いて返事をした。
シルヴィア、待ってて。これからロシナンテ達もシルヴィアの救出に向かうから。絶対に、助けてみせる。


こうしてシルヴィアの救出と、アランを捕らえに向かったロシナンテとセンゴクだが、シルヴィアがまだその場にいるとしか考えていなかったロシナンテは、その考えが間違っていたと思い知り、酷く悲しむ事となるのだった──


TO BE CONTINUED