story.38

──なんか暖かい・・・?

何やら温もりを感じ、シルヴィアは目を覚ました。

『──んぅ・・・・・・』
「ん?・・・起きたのか!おい、ド『っ!!!?きゃ、きゃああああ!!!!』」

目を覚ますと、見知らぬ大男の顔が視界一面に広がっていて、シルヴィアは驚きのあまり絶叫し、暴れた。その時、大男が何か言おうとしていた様な気がしたが、シルヴィアは気にしてられなかった。
だが、その見知らぬ大男の腕に抱かれている様で、精一杯暴れて抜け出そうとするが、シルヴィアを抱く腕の力が強く、中々抜け出せそうになかった。
こ、怖いっ・・・、・・・この男も奴等の仲間なのだろうか・・・。

「お、おい落ち着け!!おれはお前の味方だ!!」
『いやっ!!離してっ!!』



「おい、何をしてる?」
『!!?』

聞き覚えのある声が聞こえ、驚愕した。
だが、この声の持ち主は今街人に捕らわれてるはずだ。

『ド・・・フィ・・・?』

声がした方へ視線を向けると、確かにそこにはドフラミンゴその人がいた。
ドフラミンゴが現れると、今までシルヴィアを抱えていた大男が、地面に優しく下ろしてくれた。
その時、この大男とは別で、見知らぬ男が3人いる事に気づいた。

「シルヴィア」

優しく名を呼ばれ、シルヴィアは胸が熱くなり、涙を流しながらドフラミンゴに飛びついた。

『ドフィっ・・・ひっく!!・・・ドフィが無事でっ・・・よかったよぉ・・・っ!!』

ここはどこだとか、4人の男達は誰だとか、ロシナンテと父は無事なのかとか、聞きたい事は色々あったが、ドフラミンゴが無事でいてくれたのが何より嬉しかった。
ドフラミンゴの胸に顔を埋め、わんわんと泣きついた。

「それはおれの台詞だ、シルヴィアが無事でよかった・・・助けてやれなくて悪かった」
『そんなことっ・・・!!』

ぎゅっと抱き締められ、そう言われた。
ドフラミンゴに謝れる必要はない。そもそも、シルヴィアが戦う術を持っていなかったのが悪かったのだ。
それに、今シルヴィア達がいる場所は船の上で、その事でドフラミンゴに助けられたのだとわかる。それだけでもうシルヴィアは十分だった。助けに来てくれた事が、何より嬉しかった。

『ドフィっ・・・助けに来てくれてっ・・・ありが、とう・・・っ!!』
「シルヴィア・・・いや、おれはほぼ何もしてない。お前が自分であいつらを倒したんだ」
『え・・・?』

ドフラミンゴの言葉が理解出来なくて、驚いてドフラミンゴを見上げた。
シルヴィアがあいつらを倒した・・・?それは一体どういう事だろうか・・・?全く身に覚えが無い。

「べへへ〜、お前が″覇王色″の覇気で奴等を気絶させたんだ!!」

今まで黙っていた男が、横からそう声を掛けてきた。ドフラミンゴから離れ、そちらを見ると、鼻水を垂らした大男がいた。目には小さな黒いサングラスを着けている。

『覇王色の・・・覇気・・・??』

聞き慣れぬ単語に、頭上に?を浮かべた。

「覇王色の覇気は天に選ばれし者だけが使える特別な力だ!!・・・シルヴィアと言ったか?お前もドフィと同じで″王の資質″がある者だ!!」
『そ、そうなんだ・・・』

そう興奮気味に言われるが、今いち理解出来なかった。とりあえず、誰にでも使える訳じゃない力がシルヴィアにも使え、その力を使ってどういう訳か、襲い掛かって来ていた男達を気絶させたのだという事は理解出来た。

『と、ところで、あなた達は・・・?』
「そうか、自己紹介がまだったな!!おれはトレーボルだ、んねー」
「おれはディアマンテだ。よろしくな、姫さん」
「ピーカだ」
「ヴェルゴだ。よろしく頼むよ、おれ達のもう1人のボス」

鼻水を垂らして目に小さな黒いサングラスをつけてる大男がトレーボル、ロン毛の細身な大男がディアマンテ、全体的に大きく鎧の様な物を身につけている巨人がピーカ、ドフラミンゴとシルヴィアと年がそう年が変わらなそうな子がヴェルゴとそれぞれ自己紹介をしてくれた。
だが、最後にヴェルゴは何やら気になる単語を言っていた。ボスとはどういう事だろうか。

『ボス・・・?』
「シルヴィア、今は気にするな。いずれお前に話す。」
『・・・う、うん』

誤魔化されてる様で納得出来なかったが、シルヴィアは頷くしか出来ないでいた。何故ならば、ドフラミンゴの纏う雰囲気が、追及は許さないと言っていたからだ。いずれ話すと言ってくれたので、その時まで待つ事にするしかなかった。




この時、シルヴィアは知らなかった。
後にシルヴィアを助けに来た者が、いたという事を・・・・・・。

そして、その者がシルヴィアを助けられなくて、酷く悲しんでいたという事を──


TO BE CONTINUED