キミからの贈り物





「――ほら、偽物くん。手を出せ」


掌に乗せたままのそれを、山姥切国広は眺めていた。何処にでも売っている、何の変哲もないただの飴。だが国広にとっては、とびきり特別な飴だった。渡してきた本刃としてはただ苦手な味だったから押し付けただけの、直ぐ様忘れてしまうような些細な事であっても。直ぐに舐めてしまうのは勿体ないと思う程、国広にとっては特別なのだ。だから内番の疲労も吹き飛んだ国広は、上機嫌で包装されたままの飴を眺め続ける。
――だが。何時までもこうしている訳にはいかない。舐めてしまうのも勿体ないが、大事に大事にと取って置いて結局口にする前に傷ませてしまっては意味がないのだ。一度そう考えてしまうと漸く決心がついて、国広は封を切り、中から飴玉を取り出す。
普段は直ぐに噛み砕いてしまうが、今回はそんな事はしない。ころん、と何度も口の中で転がして、広がるイチゴの甘い味に国広は口元を緩める。あぁ、出来る事ならば。このまま、溶けないでほしい。



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