※転生ネタ
※前世ちょぎさに♀からの今世ちょぎモブ♀からのちょぎ←モブ♀
――済まない、別れて欲しい。
絶対に取り乱すと思っていた私の心は、意外に静かだった。……きっと、何れこうなると解っていたから。だから、だろうなぁ。
切っ掛けは隣のクラスの転校生だった。廊下から教室の椅子に座って窓の外を眺めているのを偶々彼――長義と見た時。あれが噂の転校生さんかぁと暢気に話し掛ける私に反して、彼は酷く動揺していた。長義?と声を上げる私に気づかない様子で、転校生さんを見ていたのだ。ねぇ、と彼に触れようとした所でぽつりとあるじ、と零れ落ちた言葉に私は固まった。主?何のことだろう。何故か嫌な予感がして、同時に初めて幼馴染みが遠い存在に思えてしまって。私は思わず泣きそうになった。きっと顔にも出ていたと思う。――何時も一緒だったのに。私が、彼の一番だったのに。悔しい、悔しい。
あの転校生さんと一方的に逢ってから。私達の関係に綻びが生じたのだ。私と居ても、何処か心ここにあらずといった感じだった。そう思うのは私が長義の幼馴染みだから。いつも一緒に居たから、解るんだ。
きっと彼は、あの転校生さんが、
「……もしかして、ううん、もしかしなくても転校生さんだよね?」
私の問い掛けに彼は一瞬だけ顔を強張らせた後、目を伏せながらただ一言、済まない、と呟いた。
「…………大丈夫。」
うん、大丈夫。
私はにっこりと笑い掛けてうん、ともう一度だけ頷いた。
「私達、ただの幼馴染みに戻ろう。けど、……けど、一言だけいいかな」
漫画の世界と現実の世界は違う。解っていた、解っていたのに、高望みしちゃった。私みたいな平凡なのが彼と付き合える訳がなかった。ただ幼馴染みだっただけで私はその居場所を手に入れた。けれど、漫画みたいに報われはしないのだ。
「――私、昔からずっと、長義が好きだよ」
結局、私は。彼のお姫様になんか為れなかったの。