#1 手を繋ぐ

「冬に近づいてきて寒くなってきたね」
「もう、秋も終わるからね〜」
「防寒具、そろそろ出さないと寮と学校の往復でも手足が冷えるなぁ」
「耳郎ちゃんは寒がり?」
「どっちかって言えば。苗字は?」
「私はどちらかと言えば寒さには強いよ」
「へぇ、なんか意外」
「そー?」
「寒い所とか嫌いじゃん」
「寒い所はね。あんまいい思い出ないから好きじゃないだけで、寒さが苦手なわけじゃないんだ」
「そっか、苦手と強さは確かに違うか」
「うん。けど、冬も悪くないなって今ちょっと思うよ」
「…? なんで?」
「ふふふ、だってねー」
「わ、冷たっ」
「こうして耳郎ちゃんの手で暖めて貰えるから!」
「ちょ…!?」
「あー、暖か」
「苗字の手冷たすぎ、ウチが冷える…!」
「とか言いつつ、顔は赤いよ」
「〜〜!!」
「耳郎ちゃん、かわい〜」
「苗字、あんた、ホントいい性格してるわ…」
「へへっ、寮に帰ったらココアいれるから許して?」
「………」
「ダメでしょうか?」
「………マシュマロもいれてくれるなら」
「ふへへ、喜んで!」