03
由良間が去りマジックショーも終わり、女の子は下着と薔薇をすり替えた男の子にお礼を言いながら、ちゃっかり持ち帰ろうとした所を阻止して取り返す
それを仕舞ったところを見計らって千鶴は女の子に話しかけた
「あの……もしかして、美雪ちゃん?」
「あれ!千鶴さんですか?お久しぶりです!」
「わ〜!お久しぶり!ショーの時に見てもしかしてって思っていたら!」
美雪ちゃんと呼ばれた女の子はやっぱり千鶴と知り合いだらしく、再会を喜び楽しそうに話し始めた
「美雪?その人は?」
「えっと…どのようなご関係で?」
2人の様子が随分親しそうだったから、そろそろ紹介してほしいなぁと私と男の子は同じタイミングで聞くと2人は「ああ、ごめん。紹介するね」と先に千鶴が女の子を私に話してくれた
「七瀬 美雪ちゃんはね。フラワーアレンジメント教室で一緒の班になった子で、話してみたら色んな好みが共通しててそこから仲良くなったの」
「フラワーアレンジメントか〜千鶴は昔から植物大好きだったわよね………あ、私は千鶴の友人の粟田 一華です」
私も軽く自己紹介したら、改めて美雪ちゃんと千鶴も……そして男の子達と中年の男性も互いに挨拶した
すり替えマジックした癖っ毛の男の子は金田一一君
ビデオカメラを持った男の子は佐木竜二君
この二人と美雪ちゃんは同じ高校に通う先輩後輩で友人同士
そして、体格の良い中年男性の剣持勇さんは金田一君達の先生か親族の人だと思っていたけど、ただの親しい知り合いらしい
どんな繋がりで親しいのかな?と聞こうとしたら、剣持さんが何やら私を見て「う〜…ん」と難しそうな顔をした
「おいおい、おっさん!一華さんをジロジロ見てどうしたんだよ」
「ああ。すまない!粟田さんの顔を何処かで見たことあるような気がしてだな……失礼ですけど、お会いした事は……ないですよね?」
「え、ええ……剣持さんとはここで初めてお会いしたと思います」
突然言われた言葉に戸惑いながらも、所々抜けてる記憶だけど頑張って思い出そうとした
だけど、どう思い返しても前に剣持さんと会った記憶はない
首を横に振ると剣持さんは「そうですよねぇ〜いやぁ俺の記憶違いでした!すみません!」とすぐに謝った
「もしかして、おっさん。最近ハマった女優さんと勘違いしたんじゃないのか〜?」
「馬鹿!そんなんじゃない!」
「まぁでも、一華さんも千鶴さんも女優並みに美人っすよね!それなら口実作ってナンパしたくなる気持ちも分かっ……」
「ちょっと?はじめちゃんの方が失礼でやらしくジロジロ見てるんじゃないの〜?」
「いだだだだっ!」
剣持さんの人違い(?)で少し気まずい雰囲気になりかけたけど、鼻の下を伸ばしながら私と千鶴を見て褒めていた金田一君の面白いフォローで笑いに包まれた………ただ、美雪ちゃんに耳を引っ張られる痛いストップがかかっちゃったけど
「ふふっ可愛いなぁ〜。別に私はもっと見ても良いのよ?美人とか可憐とか綺麗とか言われるのは嬉しいし。ねぇ千鶴?」
「一華〜?あなたも調子に乗るんじゃないわよ?」
「は〜い」
そんな金田一君達の様子は高校生と言えども幼さの残る可愛いものだし、褒められるのが好きな私は金田一君にもっと褒めて見ても良いって言うと、千鶴からのツッコミが入り終始なごやかムードに
すると……その時、誰かの携帯電話が鳴り始めた
誰のだろう?と思っていると金田一君が剣持さんに携帯が鳴っているのを告げる
けど、彼はこんな着信音にはしてないないって言いながらも何気なく音源を辿ると自身のスーツのポケットの中にあり、それを見て「もう一つ別の携帯が入っとる!」って驚いていた
え?どういう事なの…?誰かの携帯を間違ってポケットに仕舞っていたのかな?
なんて思っている中、金田一君だけは何かに気付いて剣持さんからその携帯電話を借りて通話し始めた
「―――もしもし?……………誰だ!あんたは!!…………!!“地獄の傀儡師”――!?」
誰かと通話している金田一君から出た単語に剣持さんや佐木くん、美雪ちゃんまで驚いた
な……なんだろう。地獄の傀儡師って……
何があったのかわからないけど、皆の表情を見るからに只事じゃない事態だと判断した私と千鶴も一緒に金田一君の通話を見守っていると
「爆発だとォ!?」
「っ!?」
金田一君の怒りと驚きの混じる声を聞いて、私達も 驚いてその言葉の意味や示すものを考える
爆発……って事は列車内の何処かに爆弾が……!?
それを聞いた剣持さんが爆発だなんてアトラクションとか冗談じゃないのか?って聞こうとした
その時
テーブルにあったサラダが突然ドンッ!と音を立てて食材と器が粉々になった!!
「きゃあっ!?」
「うわっ!?」
「きゃあああっ!!」
まるで剣持さんの言葉に対して冗談ではないと答えるように爆発したサラダに、私と千鶴と美雪ちゃんは思わず驚いて悲鳴を上げてしまう
「な……何だ?今のデカイ音は!!」
「ばっ爆発…!?」
「ウソ!やだ!!」
「ちょ…ちょっと聞いた?爆弾だって!」
爆発の音と私達の悲鳴を聞いた他の乗客達も爆弾があるんじゃないかと次第に騒ぎ始める
まずい…これは車内がパニックになる…!
「あんたいったい何者だ!?何のつもりでこんなこと…!!」
電話の相手に目的を聞こうとしたけどその途中で切られてしまい、ただ爆弾の忠告しか聞けなかった金田一君は「くそっ!!」とやり場のない悔しさを表した
「はじめちゃん…相手は一体…」
「この列車に…あと20分後に爆発する爆弾を仕掛けたって…」
それを聞いた私達はまた驚き恐怖に拍車がかかる
さっきのサラダが爆発したのもあるから、同じような爆弾がこの列車の何処かに仕掛けられてると誰もが思った
「まずいぞ金田一!こうなれば、車掌にこの列車をすぐ止めてもらって避難した方が良い!」
通話の相手は本気だと思った剣持さんはすぐに避難すべきだと判断して、車掌さんがいる操縦室に向かう
「何か引っ掛かるな……」
「はじめちゃん…?」
「センパイ、相手が何か変なことを言ってたんですか?」
美雪ちゃんと佐木君がただの爆発予告じゃないのか?って聞いたけど、金田一君には何か妙に思うところがあるみたい
だけど……
「ね、ねぇ美雪ちゃん。この爆弾騒ぎってさっき言った地獄の何とかと関係あるの?」
「貴方たち何か知ってそうだけど……一体どういう事なの?」
謎の相手からの電話に爆発騒ぎ
そして、地獄の何とかと言う名前を聞いた金田一君達のあの緊張が走った表情
彼らはただのツアー客じゃないと思った私と千鶴は事情を聞くと、事の顛末を教えてくれた