紫色の執念
「ふぅ。作戦成功!」
思わずそう声に出すと、上からゆっくり降りてきたサレの姿が見えた
「なるほど………少しは頭が使えるんだね」
上から降ってくる言葉の通り。なんて自負していいか分からないけど、自分なりに今回は頭の回転が良かったと思った
まずはなんで時間稼ぎをしたと言うと…………自分にかかったホーリィボトルもといダークボトルの効果が切れるのを待っていたから
そして、切れたのを見計らってサレに落としてもらうよう挑発し、ボムスローで安全に着地した。と言うわけだ
「でも、魔物がいなくなったところを見計らったつもりだけど、そんな怪我だらけじゃ血の臭いを辿られてしまって意味ないと思うけどね」
「ハッそれはどうかな?」
「?」
「血よりも惹かれるものがあるはずだ」
そう。俺はちゃんとそこら辺も考えていた
いくらダークボトルの効果が切れて魔物が普通の状態になっても、傷だらけの俺じゃあ血の臭いでまた誘き寄せてしまう。とわかっている
だから………
「これは……?」
サレはさっき俺にかけられた液体の怪しい輝きに気付いて何かを察したようだ
「お前のプレゼントをそのままお返しさせてもらったぞ」
そう。その言葉の意味のまま。つまり………
あの落とされる一瞬で、俺が使ったダークボトルの残っていた中身を全てサレにかけたって事だ!
そうすれば俺を追いかけてた魔物は全部傷だらけの俺よりもサレに集中して、俺は安全に地上に戻れるって作戦
いや〜我ながらなかなか良き作戦だ!と息を整えながらちょっと得意気になっていると
「………まぁいいさ。しばらく会えないと思うから、退屈しない時間を過ごせてよかったよ」
そう言いながらサレが空中にいたまま背を向けた
……流石のサレも大量の魔物に囲まれた上にうっそうとした森林の中に俺が逃げれば面倒だと思ったのか、今回は諦めてくれるようだ
そして……
「それじゃあ、またね。レンちゃん」
と、なんだか遊びに満足した子供のように、楽しかったと言いたげな笑みを浮かべて俺に軽く手を降り、魔物達を引き付けながらこの場から去って行った
………………
とりあえず、危機はなんとか去ったと安心したけど、俺も早くこのダンジョンから抜けないと。と力を振り絞って入り口まで急いだ
長居してたらせっかくダークボトルがけのサレで離した魔物がまた正常になって今度は血の臭いで俺のところに来る………そうなる前にダッシュ!
「(そう言えば………しばらく会えないって。なんだ?)」
急いでる中、サレとのさっきのやり取りについて思い返して、なんか最後の言葉が引っ掛かった
なんで…………なんでわざわざ、しばらく会えない事を話してくるんだろ?
まさか、あいつは俺に気が…………
いやいやいやいや!無いな!あり得ないな!
「(あれ?でも、あいつなんで俺の名前を知ってたんだ?)」
あいつに直接「レン」だと名乗った覚えがないのに……そうなれば仲間たちが俺を呼んでいたのを聞いてた?
でも、だからと言って……
……ああもう!全く自分はなんて事を考えてしまうんだ!と自分に何度もツッコミを入れながらダンジョンから出るという本来の目的に集中した