黄泉竈食ひもカニバリズムもできるまなざし

2020/01/30
274 灰に濁る‖こんなことになるなんて思わなかった
罪人はそう言った。「こんなこと」、など、自覚しているなら尚更質が悪いというものだ、彼女は目の前でわんわんと泣き崩れている。なんとも自分勝手な人間だろうか。一見反省しているように見えるこの女でも、目の前の惨劇に泣くしかしないのだ。結局何一つ感じちゃいないし、思っちゃいないのだ。わたしはこの生き物に熟々辟易していた。
貴女が殺したのは目の前にいる屍だ。息をしていない、温度もない冷たい肉塊だ。君はそれを理解しなくちゃならない、理解をしろ、こっちを見ろ、受け止めろ、目を逸らすな。
いつかわたしと同じようにその眼光が開かれ動かなくなるときまで、わたしのこの姿をその脳裏に穿て、焼き付け、後悔しろ。
そうだ、もう離せない、離してやれぬ。その一生をわたしの死に捧げろ。



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