記録 黄泉竈食ひもカニバリズムもできるまなざし2020/02/09 タール‖甘すぎる、甘すぎる、甘すぎる。自責と叱責で押しつぶされそうになっても、必死で口寂しさを忘れようとしていたのに。何よりもイメージトレーニングはしっかりと出来ていて、あえかなる衝動すら起こさず、ただ正確に祈りと懺悔と後悔を詫びていたというのに。私の中のくだらない可能性が不意をついて口角をあげさせて、声音を変え、いつも通り今まで通りの無神経な君を受け止めた。何度も殺したはずだったのになぁ。 2020/02/08 傀儡‖比較のそれぞれの対象が天と地に見えて、それを行うことさえ煩わしく思う。天と地に見えていたけれど、きっと今も昔も泥沼だったのでしょうね。貴方の言葉は簡単に私を殺せる、二年もいたら分かるものよ。二年間毎日毎日否定的なことを言われてみなさいよ、ご覧よ君が並べた御託の数々を。ご覧よ、君が私に下した制裁のあれこれを。 2020/02/07 おしまい‖遂に遂に遂に落下地点が目に見えてこんなはずじゃなかったって予測しきった遺言を残して!おわる!!!アアッ!人格破綻者の傍らに寄り添った末路!!!!私は私は私はこの人以外の異性を人間として認知できないほど洗脳されていたというのに!!!飼い慣らされていたというのに!!!慣例も経験もあてにならないこの人外ととうとう、私が見届けたかったのに。私から捨てなければ、廃棄されるだけの話よ、分かっていたでしょう。 2020/02/06 未完成‖あの日から忸怩たる思いを抱えながら何処かで清々しさを覚えていた。科白は上手くかわされたものの、気持ちだけはちゃんと届いたのかしら。心の隙間に余裕を詰め込んでいれば、あれだけ固執していたのは何だったのかと言うぐらいには今の距離がひどく心地良い。時間をかけた慈しむ指先が悲鳴をあげて、君の顔を歪めるのは征服感を覚える。洗面所でドライヤーとアイロンを取り合う日々は、あと半年か、それとも 2020/02/05 嗟歎‖指折り数える、足りずに右手を再利用。うつ伏せの明日は私への帰趨を繰り返し、これにて禊終了。あと六回、指を折ったときに私の傍に在るのは孤独か幸福な苦労であったか。尤物に成り得ない汝の指は、あと何度。 2020/02/04 DEUX‖きっとそのいつかが来るのでしょう、飾ることでしか愛せない言葉もごめんねの一言で突き返されておわり。それでおしまい。嫌われる事が怖いなんて、隠れて見てただけの貴方には何も分かりやしない。お願い見つけて。飾ることでしか癒せなかった、何度も反芻したごめんねの一言で君は死んだ。 2020/02/03 無知の知‖私は完全にこの件に関しては主導権を握っているわけだけど私はあえて何も知らないふりをしてるんだよ面倒だからね、ただこの後に関して主導権を握ってるのは君なんだ。君が嘘をつけばつくほど私はそれを嘘と知りながら許容して傷つく、軽率な言葉で許されない嘘だと糾弾もせずに傷ついてまた知らないふりをする気づかないふりをする身の保身が身を滅ぼすだなんて思わないだろう君は、君は保身するのがうまいなあといつも尊敬してるよ私は 2020/02/02 絵空事の畢生‖どれも綺麗ではなかった。ただ、どれもこれも吸い込まれるように儚かった。法悦の時は一瞬で陰惨は永きに渡り、汝が歔欷する事さえかの者は赦してはくれない。須らく融けてしまえという強烈であり熱烈な偏愛は、汝の苦衷を模したように思えた。叶わないと知った汝の慟哭により流した紅涙は、功罪相半ばする言動を招く。均衡の取れなくなったその身と、切り落とした腕を捧げ情慾を煽る術しか、稚き汝は知らなかった。爾今に待つ素晴らしき日々に目もくれず、それが不実の事柄であると知らず、盲信する目に周囲は笑止、当人は至上の悦びを覚えていた。かくして、齢十六の女子は残喘を保つ日々を送った。 2020/02/01 かくも所以は君が残した呪い‖斯くの如くに現れた残像は屡次に及び私の望んだ形にはならない。お前には来ないよと語りかけるかの様に、不審な笑みを残したまま空気にとける。そして例の如く決まって煙に巻かれた私は、また静かな誰もいない寝屋で目が覚める。夢か、という嘲笑も何度繰り返したか分からないが、空にはまだ煌々と三日月が笑みを作っていた。心の臓がどくどくとけたたましく鐘を鳴らしている。浮上した熱を冷ますかのように夜の帳は開きはせず。このように醜い己を身の内に潜ませる心の広さ、もとい慈悲の心には感服するが、如何せん元を正せば「夜」のせいなのである。その様なもの初めから存在せねば、私はこのように目覚めないでよいものを。落ち着きを取り戻した胸に手をあてて独りごちる。 まだ夜は明けぬ。 2020/01/31 しのぶことは出来ぬ故‖煌びやかな蝶が舞った。鈍色に光る魚が翻った。美しく生きたその跡たち。ひとつ、またひとつと新しい生を目の当たりにする度に私はその者達に引き込まれていった。森、海、空。各地、好きなところを旅してきた者達は、今この小さな箱に収められている。彼らが生きてきた彼の地を思い描けば、何故だか涙が溢れた。 ;prev or next ☂top page |