強く生きろ name
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あれは、寒い冬の日だった。



「あんたも、もうそろそろ20になるのかい」

「そうですね...自分でもびっくりです」




私がここにきて、すでに3年は経とうとしていた。あの時は16歳だった私も、もう齢19となり、今年の春が過ぎれば晴れて成人の仲間入りとなる。今まではお客さんにお酌をしていただけだった仕事に、自分もお酒を飲みながら話を聞いていくという仕事が追加されることになる。


「朱理はきっと、酒に強い子さね」

「そうですかね...でも、お登勢さんのそばにずっといるから、なんとなく自分でもそう思います」


そういえば、お登勢さんはおかしそうに声をあげて笑った。
私もその笑顔を見て笑い、シンクに積み重なってあるお皿を手当たりしだい洗っていった。

新年が明ければ、世間の人たちは初詣やら何やらに行くのだろうけれど、あいにくと今年の大晦日と元旦は平日だったために、スナックお登勢は通常営業だった。やっとこさ平日が終わり、明日から二日間はお休みができる。
毎年、新年が明ければお登勢さんの旦那さんのお墓まいりへと出向く。明日はお登勢さんと一緒に初詣を終えたら、お墓まいりへ行くのだ。

去年一年間の出来事や、今年はこんなことがあればいいなと思っています、とか。毎回私は、お登勢さんと過ごした出来事を心の中でそっと旦那さんへと語りかける。

そして最後には、


『強く生きろとそう言われたあの時から、あなたの奥さんは、お登勢さんは、私の大事な大事な命の恩人なんです』と。そう締めて終わるのだ。







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