強く生きろ name
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侍の国、僕らの国がそう呼ばれていたのは今は昔の話。
そんな中、僕は万事屋銀ちゃんで働かせてもらっている。まだ一度も給料なんてもらったことはないけれど、それでもレジ打ちとして働いていた時よりは楽しく過ごせているんじゃないかな。

そんな万事屋銀ちゃんは、スナックお登勢というお店の二階に事務所を構えている。


「あ、新八君、坂田さんいる?」

「銀さんですか?いますよ」


そんな僕達のお手伝いというか、お世話を焼いていただいてるのが、下のスナックお登勢で働いている朱理さんだ。僕の姉上よりも幾つか年上で、家賃回収を目にもの見せる素早さで行う仕事の早い方だ。


「じゃあ坂田さんのスクーターに乗って、このメモに書いてあるもの買ってきてくれないかな?」

「おつかいですか?」

「うん。今日はすき焼きするんだって」

「え!!僕達も食べていいんですか?」

「もちろん。お願いしてもいい?」

「はい、銀さんに言ってきますね!!」

「お願いしまーす」


玄関でそう話して、にっこりと笑ってまた階段を降りていった朱理さんの背中を見る。こんなにしっかり者で働き者の朱理さんは、スナックの方でもやっぱり看板娘としてここら一帯では有名な人なのだ。


「銀さーん」


僕は店の中へと入り、銀さんの名前を呼ぶ。すき焼きだと聞けば、いつもはやる気のないあの人もいつもよりやる気を出してくれるだろう。








と、僕達はその時思っていたのだけど、あれよあれよと言う間に夜兎族とかいう女の子をかばうために逃げたり電車に轢かれそうになったりした結果、万事夜銀ちゃんにメンバーが一人増えました。



「増えました、じゃねーよ!!」

「おかわりヨロシ?」

「テメっ何杯目だと思ってんだ。うちは定食屋じゃねーんだっつーの。ココは酒と健全なエロを嗜む店...親父の聖地スナックなんだよ!!そんなに飯食いテーならファミレス行ってお子様ランチでも頼みな!!」



名前を神楽ちゃんという子は、とてもご飯を食べる子で。
とりあえずお登勢さんのところに連れて行った。僕達のお金だけではどうしようもない食欲旺盛さだったからだ。


「なんだかんだ坂田さんもやるんじゃないですか」

「俺はいつもやるよ」

「どのツラが言ってるんだか」

「朱理ちゃんどんどん俺に冷たくなっていくね?」



銀さんの前にある食べおわったパフェの食器を手に取りクスクス笑う朱理さんの隣にお登勢さんが座る。
僕達は、どんな経緯で神楽ちゃんを連れてきたのかを話した。


「へぇ〜じゃああの子も出稼ぎで地球に。金欠で故郷に帰れなくなったところをあんたが預かったわけ...」

「馬鹿ですねえ。坂田さん、家賃も十分に払えてないのに」

「朱理の言う通りだよ。あんな大食いどうすんだい?言っとくけど家賃はまけねぇよ」

「俺だって好きで置いてるわけじゃねーよあんな胃拡張娘」


銀さんがそう言うと同時に銀さんの頭にクリーンヒットしたコップと神楽ちゃんの「なんか言ったアルか?」に僕達は3人同時に「言ってません」と口にした。


「コレデ頭冷ヤストイイデスヨ」


すると、銀さんの近くで冷えたおしぼりを差し出す初めて見る人が。
名前をキャサリンと言うらしいその女性は、お登勢さんが言うには出稼ぎで地球に来ているらしく、実家に仕送りするために働いているそうだ。


「大したもんだどっかの誰かなんて己の食欲を満たすためだけに...」

「なんか言ったアルか?」


そしてまた机に倒れこんだ銀さんを見て見ぬ振りして、僕達の「言ってません」がハモった。
すると、突然お店の扉が開き、朱理さんが立ち上がった。


「どうかしましたか?」

「あのーこういうもんなんだけど、ちょっと操作に協力してもらえない?」


そういったのは中年のおじさん二人。手にしてるのは警察手帳みたいだ。


「何かあったんですか?」

「この辺でさぁ、店の売り上げが持ち逃げされる事件が多発しててね。何でも犯人は不法入国してきた天人らしいんだが、この辺はそーゆー労働者多いだろ、何か知らない?」


そのおじさんの言葉に銀さんが犯人は神楽ちゃんだとか何とか言って騒ぎ始める。それを呆れながら見る朱理さんとお登勢さんは、ゆっくりと警官に向かって首を横に振った。


「何か大丈夫そーね」

「あぁ。もう帰っておくれ。うちはそんな悪い娘雇ってな...」


と、お登勢さんが扉の方を振り向いたと同時に、キャサリンが店のレジを持ち出して、銀さんの原チャリに乗っかり「あばよ腐れババァ」と言って走り出していった。

神楽ちゃんの傘も一緒に取られていたらしく、銀さんと神楽ちゃんは二人して怒りをあらわにし、まさかの警察の車に乗り込み、無免許運転でキャサリンを追いかけてしまった。僕も慌てて後ろに乗り込んだけど、これ完璧犯罪だよね?







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