強く生きろ name
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結局あの人たちは定春くんも連れて宇宙旅行へといき、なんだかよくわからないお土産と、どこででもどんちゃんさわぎを起こしてくるお土産話を聞いて、とても楽しい旅行だったのだろうと思った。


季節も夏になり、汗が止まらないほどに気温が高くなってきた。いつものようにお店の前で掃き掃除をしていれば、なんだかよくわからない格好をした3人が上から降りてきて、坂田さんの「仕事行ってくらぁ」の声で、あ、それ仕事なんだ、と心の中でそっと突っ込んだ。


そんな出来事があった次の日、お店にものを忘れたお客さんの開いている食堂屋さんへ、忘れ物を届けようと出向いている時、ちょうど真選組の前を通った。


「お、朱理ちゃんじゃねーか」


と、昨日とは違ういつも通りの服を着た坂田さんたち3人が真選組の中から出てきたのだ。
まさか昨日の服が派手すぎて厄介なことにでもなったのだろうか...私も初めてここにきた時、セーラー服で周りから白い目で見られたっけ...そんなことを思っていれば、坂田さんたちの後ろからいつかのお花見で見た鋭い目をした二枚目な男性がこっちを見た。


「あんたは...花見の時の」

「あ、その節はお世話になりました」


慌てて頭を下げれば坂田さんが嫌そうな顔をしながら頭下げなくていいんだよと悪態をつき、私の頭に手を置く。


「いつも坂田さんたちがお世話になってます」

「なんでぃ、旦那こんな年下の母親がいたんですかィ」

「どんな思考だ」


もう一人、確かにお花見で見た甘いマスクの男の人が来てそういった。
私が坂田さんの母親?なんてめんどくさい。私は思いっきり顔をしかめてしまったのだろう、坂田さんに「そこまで嫌か?」と突っ込まれた。


「朱理〜お腹ペコペコネ〜」

「一緒にどこかで食べていこうか、新八くんも」

「え、ほんとうですか!?」

「おいおい朱理ちゃん、俺は?」

「坂田さんは大人でしょ」

「男はいつまでも子供なんだよ」

「はいはい」


いつものように適当にそう返せば「あんたも苦労してんだな」と、鋭い目つきの男性に同情の目を向けられる。


「もう慣れちゃいましたけどね。中沢朱理と言います。今度是非お店に」

「ああ、俺は真選組副長の土方十四郎だ。こっちは沖田総悟」

「よろしくお願いします」


土方さんはひとつ首を縦に振りその挨拶に答えてはくれたが、沖田さんの方は何も反応せずにただ、私の方を向くだけだった。何か気に障るようなことでも言っただろうか?思い当たる節はないため、私は未だにぶつくさ言っている坂田さんたちを引っ張り、その場を離れた。






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