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二年生にもなれば、一年生の頃よりも勉強は格段に難しくなった。呪文学で習う呪文もレベルは上がったり、何よりも魔法薬学でのスネイプ先生による減点地獄も一年生の頃よりハンパない。幸いにも私とタイリーは未だに減点はされていない。


「クィディッチの選手に選ばれた?」


三人で魔法薬学のレポートをまとめてる最中のことだった。アンジーとアリシア、さらに双子のフレッドとジョージがクィディッチの選手に選ばれたらしい。この四人は確かに箒に乗るのが上手だった。元々運動神経も良かったのだろう、私は思わず談話室で人がたくさんいるということも忘れてアンジーとアリシアに抱きついておめでとうと叫んだ。


「すごいすごい!!アンジーとアリシアが選手って...こんなすごいことってある!?」
「確か日本のクィディッチはレベル高いのよね?」
「もうね、昔からクィディッチはずっと見てたよ!!だから、親友が二人とも選手になるなんて夢みたいで!!今度から私めっちゃ応援するから!!」


日本にいるときは嫌でもクィディッチは見ていた。毎週のようにクィディッチの試合はあったし、日本人はクィディッチのことになると我を忘れる。私は箒に乗るのは上手くないからやったことはないけれど、魔法処に通っていた時も、クィディッチは部活動の中でも一番活発にやっていた。


「おいおいオジョー、俺たちを忘れては困るぜ?」
「ダメだ相棒、こいつにはアンジー達しか見えてない」
「オジョーはアンジーアリシアラブ人間だからな」


違う椅子に座りながらタイリーに勉強を教えてもらっていたフレッド、ジョージ、リーが笑いながら私たちに近づく。後ろではタイリーが呆れたように笑みを浮かべて私たちを眺めていた。


「もちろん、おめでとうって思ってるよフレッド、ジョージ。ケガには気をつけてね」
「大丈夫さ、俺たちをなんだと思ってるんだい?」
「いつも騒がしい悪戯っ子」
「何だいそのセンスのない名前は」
「オジョー、君は頭が凝り固まってるようだな」
「そんな君にはこの」
「「くすぐり風船を投げつけてやろう」」


この双子たちの悪戯好きは、二年生になっても健在のようだ。丸い風船を片手で掴んでニヤニヤと笑いながらそれを見せびらかす二人を怒るタイリー。タイリーに怒られても知らん顔をしてなおも私に近づこうとする双子の頭をぽんぽんと、レポートの書いた羊皮紙を丸めたもので叩いた。


「タイリーに後でこっぴどく怒られるか、今少し注意受けるか、どっちが希望?」
「こっぴどく怒られるのはごめんだ」
「母親は二人もいらないしな」
「誰が母親だ」


まるで漫才のようだ。諦めたように肩をすくめて、その風船をポケットに入れなおしたフレッド、ジョージ。その風船はいつかまた使うつもりなのだろうか、そんな疑問はすぐに抑えて、もう一度改めておめでとうと言った。


「すげーよな。俺たちの中から四人も選手か...しかももう二人は学年トップ1と2だろ?俺だけ何もなくね?」


そういったリーに、フレッド、ジョージ、タイリーが顔を見合わせた。いつの間にか私たちの座っているソファーに座ろうとしている三人。(ソファーの肘掛け部分にフレッドが腰を預けて、ジョージは背もたれ部分に腰を預けていた。)タイリーは一番はじに座っている私のすぐ隣に立っていて、リーだけは腕を組んで私たちを遠目から見る形で佇んでいた。


「何を言ってるんだリー・ジョーダン」
「あぁそうだ、リー・ジョーダン」
「何だよ...」


改めたようにリーのフルネームを口にする双子。私たちは顔を見合わせて、後ろで言葉をかわす三人を見た。


「君に何もないだって?」
「あのクィディッチバカのリー・ジョーダンに?」
「誰よりも口の回るリー・ジョーダンに?」
「お前らには言われたくねーよ」


リーの言葉はごもっともだ。
それでも双子節が止まることはない。フレッドとジョージはさらにリーに詰め寄る。


「君に何もないわけないじゃないか」
「そう思うだろ?タイリー」


急に話題をふっかけられたタイリーはびくりと肩を動かして、リーの近くへと寄った。
あぁ、タイリーも何だかんだで男の子だ。男の子どうしの友情に、私の大切な家族であるタイリーは入り込んでいるのがとても嬉しくて、何だか私はニコニコろ笑顔を浮かべてしまった。


「...あぁ、リー。何もないだなんて思うな。君には君の武器がある」
「そうだぜリー。お前といると楽しい」
「お前といると時間を忘れられる」
「君といると、落ち着く」


ここにいる人たちに、リーに何もないだなんて思う人間はいない。
リーは人一倍友達思い出し、優しいし、明るくて、素敵な人だ。一緒にいればわかる、彼のそのよく出てくるなと感心をせずにはいられないコミュニケーション能力や、人懐っこい笑顔、たまに見せる悪戯っ子のような悪い笑顔。それらすべて合わさって、リー・ジョーダンだ。


「んだよ...お前らのそれはむず痒いんだよ」


リーはおちゃらけたようにそう言うけど、頬がほんのりと赤くなっている。彼は意外にも照れ屋さんだということが、これでわかった。タイリーはいつもリーにされているように、肩をポンポンと叩いて笑っていた。そしてフレッドとジョージも二人に近づいて、また何やら四人でワイワイと騒ぎながら、元にいた自分たちの場所へと戻って行ったのだ。


「本当あの四人って何なのかしら」
「ザ男の子って感じだよね」
「ヒヨリの言葉は言い得て妙ね」


勝手にやってきてそして勝手に去っていった三人を見ながら、アンジーとアリシアが呆れたように笑う。だけど二人の目には、優しい温かい感情が見え隠れしていて、こう言いながらも二人だってきちんとあの三人の仲を見守っていることがわかって。素直じゃないんだなーと私は笑いながらそうおもった。


後日、マクゴナガル先生に直談判してクィディッチの実況をすることになったと声高らかにいったリーに、「それでこそリー・ジョーダンだ!!」という双子の声が談話室に広まった。それを聞いた時は驚いたけれど、リーらしくていいなと思ったのだ。




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