才女と才女の出会い

授業が終わって、大広間での夕食まで時間があったから図書館に来た。この学校の図書館はとても大きくて、広くて、本がたくさんあって素晴らしい所だ。
まだ授業が始まって間も無くて、マグル出身だから他の人において行かれ無いようにと必死に勉強しようと決めた入学当時。今もその覚悟は決め続けたまま、ずっと勉強を続けてきた。そのおかげか皮肉にも、友達はまだできそうになかったけれど。

「(あの本...気になるわ)」

上の方にある本を取ろうと腕を伸ばすも、なかなか届かない。あともう少しで届きそうなのに、こんな時自分の背の低さが嫌になる。半ばやけになってかかとを上げてなんとかその本に指が届きそうになった時、不意に後ろに立っていた人がその本を取り、私に差し出してくれた。
慌てて後ろを振り向いてその人の顔を見ると、よくあの双子と一緒にいるグリフィンドール唯一の東洋人である人がいた。

「はい、これかな?」
「あ、ありがとうございます...!!」

優しそうな笑みを浮かべてそう言ってくれたその人に頭を下げてお礼を言う。
本を受け取って胸元で抱きしめれば、その人はその本を指差して、「その本もう読んでるの?すごいね」と褒めてくれて、少し照れながら私は口を開いた。

「私...マグルだから...少しでも魔法について知りたくて...」

そういえば、その人は私の頭をそっと撫でながら腰をかがめて私の目に目を合わせてくれた。その人の名前は、ヒヨリ・陸奥村。日本人の魔女だった。私も自分の名前を口にすれば、ヒヨリは、噛みそうになったらごめんねとおちゃらけたように言って笑っていた。

今の3年生の学年2位の人。そんな人と知り合えたことが嬉しくて。私は嬉々とした声を出してしまったけれど、ヒヨリはそんな私を笑顔で見つめながら、勉強を教えてあげると言ってくれたのだ。

思ってもみなかったその誘い。本当に嬉しくて、私は何度もヒヨリにわからないところを質問した。だってヒヨリったら、教えるのがすごく上手なの。こんなにもわかりやすい教え方があったなんて知らなくて。

それに、ヒヨリはそれ以上に、とても優しい人だった。
ご飯を食べようと大広間についた時も、ヒヨリは私を気遣って一緒に食べてくれたのだ。その時に、タイリアナ・シェバンという3年生の学年トップとも出会えた。タイリーとヒヨリは主従関係だってその時教えてもらって。ヒヨリが純血名家の次期当主であるということに、驚きもしたけれど、そんなことよりも二人を纏う柔らかい雰囲気に、私は知らず知らず笑顔がこぼれ落ちていた。


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