「あいつを応援しに行こうぜ?」
「ジニーはぐれてしまうから、ほら」
「ありがとう。ハリー」
人の多さに手を伸ばして私の手を掴んでくれるハリー。何度も経験しているのに、未だにハリーの手の温かさには不慣れだ。思わず赤くなる頬を隠すために下を見て、彼から離れないようにくっついて歩く。
行き交う人の多さに、すごいなぁ、と心の中で思いながら歩いていれば、ついにハリーは目的の場所に着いたようで、我が兄の名前を呼んだ。
「フレッド、ジョージ!!」
「やぁハリー、ジニー」
「迷わず来れたかい?」
相変わらずお揃いのシャツを着た長身の双子の兄が壁に寄りかかり、人の進行の邪魔にならないように話をしていた。
フレッドの隣には彼の恋人であるアンジーがいて、真っ赤な胸元の開いたセクシーな服を着ていて、またさらに頬を染めてしまった。
「それにしてもジョージ、本当にいいの?」
ハリーが私の手を握りながらジョージに話しかけるものだから、ジョージは眉を上げて私たちの手を見てニヤリと笑うと、ハリーの問いかけに答えるように首を縦に振った。
「あぁ、本番前のあいつを応援しに行こうぜ?」
ジョージの恋人、モナカ・笹田は、今やイギリスの魔法界を代表する歌手である。彼女の所属するグループは、あの妖女シスターズたちにも引けを取らない大人気グループで、メンバーは全員ホグワーツの元生徒だ。しかも、グリフィンドール、スリザリン、レイブンクロー、ハッフルパフの全ての寮出身者でできていて、そういう意味でも注目のマトなのだ。
「今頃モナカ、すごい緊張してるわね」
「あぁ、きっと俺たちを見たら『もう無理〜』って泣きにくるぜ?」
「あらあら、案外あの子泣き虫ではないのよ?」
「アリシア!!」
「ハーイ、アンジー、フレッド、ジョージ。ハリーとジニーも」
「俺もいるぜ〜」
モナカの真似をして遊んでいたフレッドの腕を思い切りぱしんと叩いて現れたアリシア。そして彼女の隣には、兄たちの親友であるリーもいた。5人は握手をしたりハグをしたり、久しぶりの再会に小さく興奮していた。
「あとはロンとハーマイオニーだな」
「おせーな、あいつら...」
「たぶんロニー坊やの寝坊だな」
「あぁ、絶対そうだ」
ニヤニヤと笑いながら、もう一人の兄をからかう二人。そんな二人を呆れながら笑う3人に、ハリー。私はロンとハーマイオニーが来るのを今か今かと待っていた。なぜなら、私はモナカのいる『ハーモニカル』が大好きなのだ!!
「ほら、ロン、早く!!」
「待ってくれよハーマイオニー」
皆で談笑していると、不意にロンの声がした。後ろを振り向いたハリーが呆れたようにため息をついた。よく見ると、後ろの髪が少しはねている。兄たちの予想通り、寝坊をしたようだ。
「ごめんなさい!!もう、ロンったら、こんな大事な日に寝坊なんてするんだもの」
ハーマイオニーが腰に手を当ててプリプリと怒っている。居心地の悪そうに視線をキョロキョロとしているロンを見て、我が兄ながら本当に頼りない、と私は内心呆れていた。
「じゃ、行くか」
そんな二人を微笑ましそうに見守っていたジョージが、手をパンと音を立てて合わせて、私たちにそう言った。
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