「俺は君の、ファン第一号だ」

「モナカ、あんたどんだけ緊張してるのよ」

本番前というのはいつだって緊張をするものだ。手を何度も擦り合わせて冷たくなっている指先に熱を込める。黄色い衣装を着たレイニーがおかしそうに笑いながら、差し入れのマフィンを食べていた。

「だって...」
「いい加減慣れなさいよ。本番前になるたびにこうじゃ、これからどうするつもりよ」

緑色の衣装を着た、ジェシーが呆れながらそう言った。その通り過ぎて言葉も出ない。少し下を見て、はい、と返事をすれば、私の頭を優しく撫でる、青色の服を着た腕が見えた。

「いいことでしょ、どんな公演でも本気だってことなんだから」
「アンナ...」

優しくポンポンと叩いてくれるアンナ。私はその心地いいリズムに目を閉じて、何度か深呼吸をした。

不意に、ドアがこんこんとノックされる。一番ドアの近くにいたレイニーが、はいはーいと陽気に言いながらその扉を開くと、その扉からは見知った顔が続々と現れた。

「ハァイ、モナカ!!」
「モナカー!!」
「アンジー!!アリシア!!」

現れた顔は、私の大好きな、7年間の学生生活を共に過ごした親友がいた。アンジーとアリシアは私を見つけるとすぐに駆け寄ってきて、抱きしめにきた。大好きな二人に包まれて、私もいくらか緊張が消えて。二人の背中に腕を回して来てくれてありがとうと囁いた。

「当たり前でしょ」
「あなたのファンなんだから、私たち」
「おいおいそれを言うなら、俺たちもだぜ?」
「やぁ、モナカ、大丈夫かい?」

アンジーとアリシアの後ろから出てきたのは、フレッドとリー。私はアンジーたちから離れて、二人の前に改めて立つ。差し出された手に自分の手を重ねて、きつく握られたその手に、確かな激励を受け取った。

さらに、たくさんの人が現れた。フレッドたちの妹であるジニーに、5年間同じ寮で過ごした後輩の、ハリー、ロン、ハーマイオニーがいた。

「ジニー、ハリー!!ロンとハーマイオニーも!!きてくれてありがとうね」

私がそういえば、4人は輝かしい笑顔を浮かべながら私の近くに寄ってきた。

「すっごく楽しみにしてたの!!」
「ジニーはいつも家でも歌ってるんだよ」
「や、やめてよハリー...!!」

恥ずかしそうに笑うジニーが微笑ましくて。そう言ってくれる人がこんなにもいるってことが嬉しくて。後輩たちの話を聞いていれば、ハッとした顔で、ハーマイオニーとロンが私の前から隣にずれた。それに対してどうしたのと聞けば、後ろにいたアンジーたちがクスクスと笑った。

「調子はどうだい、モナカ」

扉の向こうから、新しく一つの顔が現れた。大好きな、大好きな人の声だ。

「ジョージ...!!」
「まーた、緊張してるのかい?」

ジョージはそう言う、笑顔を浮かべながら私の頭を撫でて、そのまま強く私を抱きしめた。

「俺はモナカの、ファン第一号だ。忘れたかい?」

その言葉に、私は彼の胸の中で首を横に振った。今だって思い出す。一生忘れるなんてことはない、彼の言葉があったから、今の私がいるのだ。

『僕が君のファンになるさ。だから、もっと君は自信を持つべきだ』

まだ、お互いが好きになる前の時。私は、彼の言葉のおかげで自分の声に自信を持って、そして、夢を追いかけることができたのだ。



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