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「サチどうだった?」
「ヒアリングえぐすぎるって...」
いよいよ始まった最後の決戦。12月のこの試験が終われば、暗殺期限までのこり3ヶ月。誰もがこの試験に本気で向かっている。まず最初の英語が終わり、あまりの疲れに机に突っ伏していれば新稲と中村の声が聞こえた。
「莉桜は?」
「まぁまぁって感じかな...」
「1位狙える?」
「どうだろうな〜...問題量多すぎて見直しできなかった」
「てか解け切れたのあれ...すごすぎる」
「英語が一番得意だかんね」
ちゃらんぽらんに見えていても実は真面目な中村の言葉に苦笑をこぼす。そうだ、このクラスには案外真面目な奴が多い。カルマだってあんな風に狂ってるように見えて、その実E組の中ではA組に匹敵するぐらいの、頭の持ち主だ。俺も休んでる場合じゃねーなと肩をあげて机から顔を離した。
さぁ、次は社会に国語に理科。
そして最後は数学。一番最後に厄介な数学があるというのにもかかわらず、新稲は最後に数学でよかったとかぬかしていたな。やっぱり変なやつだ。
運動神経がいいわけじゃない新稲のことを、いつから守ろうと思ったのかは忘れた。喧嘩まがいのことをしたあの時か。あぁ、そうだ、喧嘩をしたというのに俺はまだ謝ってもいなかった。いつか謝ろうと思いながらずるずると引きずったままここまできた。
どこまで俺は腰抜け野郎なんだ。
そうだ、告白だって普通は男からするものだろう。なのに、俺から離れたとかなんとか言って避けて。俺はどこまで弱虫なんだよ。もうとっくにあいつが好きなことだって分かってたのに、ごちゃごちゃ考えすぎて傷つけて、普通に考えて最低なやつじゃねーか。
テスト中だというのに、変なことを考えるもんだ。今は目の前にある問題に立ち向かうべきである事はわかってる。最後のテスト科目である数学が目の前に出された。
圧倒的な問題量に異常なほどの難易度。明らかに今までとは違う敵に、俺も含めてクラスの奴らも一度足を止めた。それでもそんなの気にせずに真っ直ぐと向かうところがわかっているように、最初に動き始めたのは新稲だった。
他の奴らは今までのテストで体力を削られているのに、あいつは何処からその体力が出てくるというのか。意気揚々とスキップをするかのように、あざやかに敵を倒して行っていた。
「...よし、皆行こう」
「「「おう!!!!」」」
俺らの指揮官である新稲が向かったのだ。俺たちもあいつの後ろを追っていかないと。
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