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無事に期末試験も終わり、答案返却の日だ。今回の目標は全員が50位以内に入ること。どうだろう、私は入れているだろうか。
「大丈夫だろ」
「そうかな...」
「俺が入ってたら全員が50位以内だ」
「寺坂君自信ある?」
「...普通」
私の目から目を離してそう答える寺坂君に思わず笑ってしまう。机の上に置いていた手を離して立ち上がり、自分の席に向かう。朝のSHRと共に始まるであろう返却に皆緊張の面持ちだ。
「ラブラブだね」
「うるさい」
隣に座るカルマ君がニヤニヤと笑いながらそう言う。彼を少しだけ睨んで、前を向いた。殺せんせーが答案用紙の入った封筒を手にして教室に入ってきた。
「細かい点数をしのごのいうのはよしましょう」
開口一番そういうと、殺せんせーからいつの間にか渡された答案用紙が手の中にあった。それをちらりと見る。100点と書かれた数学の答案用紙から目を離して、殺せんせーをみた。
「今回の焦点は、総合順位で全員がトップ50を取れたのかどうか!!本校舎でも今頃は総合順位が張り出されてる頃でしょうし、E組でも順位を先に発表してしまいます!!」
殺せんせーはそういうと、トップ50だけが載っている順位のかかれた紙を黒板に貼り付ける。私は後ろの席から自分の名前を探そうと立ち上がった。
「...うおおお...」
「...俺が...」
どこからともなくどよめく声が聞こえた。
12 新稲サチ
そこに書かれた自分の名前を見つけて思わず両手で口を覆った。
「うちでビリって寺坂だよな...?」
吉田君の声が聞こえる。その寺坂君の名前を探せば、彼の名前は46位のところに書かれていた。つまり。
「その寺坂君が46位...」
「ってことは...」
一瞬静まった教室がはち切れんばかりの歓声に包まれた。
私は思わず、前に座る愛美と抱きしめ合う。
「うおおおおおお!!!」
「やったああああ!!!!!」
「全員が50位以内ついに達成!!!!!」
やっと、やっとだ!!全員が50位以内に入った!!
しかもしかも、上位争いも五英傑も引き摺り落として、初の1位をカルマ君がとったのだ。しかも満点とかやばすぎる。
「どうですかカルマ君、高レベルの戦場で狙って1位をとった気分は?」
「んー別にって感じ」
ほぼほぼ英雄といっても良いカルマ君に皆の視線が集まる。カルマ君は少し照れたように笑った。
「完璧を誇った浅野君との勝敗は、数学の最終問題で別れたそうです。数学で満点を取ったのは君と新稲さんだけでした」
「あー...あれね。なんだろ。よく分かんないけど、一年間このクラスにいなきゃ解けなかったと思うよ。それに、新稲ちゃんの気持ちも少しだけ分かった」
「え?」
急にそう言い出すものだから、なんだろうかと首をかしげた。全員が私とカルマ君をみていた。
「数学って、難しく考えちゃいけないんだなって事」
「...えぇ、その通りです」
「誰かの役にも立てる。新稲ちゃんが教えてくれたからさ。数学、楽しいよ新稲ちゃん」
なんだろう。今まで色んなことを言われた。殺せんせーにも色々褒められたし、数学は任せたとか指揮は任せたとか、色々期待されてきて嬉しかった事も一年間沢山あった。それでも。
それでも何より。数学は楽しいと。私がおしえたから楽しいと。
そう言ってくれた今のカルマ君の言葉が一番嬉しかった。
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