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ついに今日は受験当日。私の第一志望は私立高校だから、クラスの半分の人よりも少しだけ早く受験が終わる。
ああもちろん、落ちるなんてことは考えていない。
「よし...いってきます」
「行ってらっしゃい...サチなら、大丈夫だ」
靴を履いて、受験票がきちんとカバンに入ってることを確認して、私は立ち上がる。私を見てゆっくりとそう言ったお父さんに、笑顔を見せて。私は玄関の扉を開いた。
人混みに紛れながら、歩いて高校に向かう。比較的家から近い高校には、すでに私と同じ受験生やその保護者、さらには塾の先生など多くの人が待ち構えていた。さすが全国から生徒を募ってるせいか、いろんな人がいる。中にはシーサーを持ってる子までいた。
高校の玄関までゆっくりと歩いて行けば、ハチマキを巻きつけた毎日見続けてる黄色い触手が垣間見える人の集団がいた。
「「「「ふれー!!ふれー!!サチー!!」」」」
「...殺せんせーなにやってるの...」
ふつうに恥ずかしいからやめてくれ。
思わずでるため息とともにそういえば、殺せんせーは分身をやめて私の顔を見届けると、一言だけ言葉を告げた。
「君なら大丈夫です。胸を張って、1位を取って来なさい」
そんな嬉しい言葉を言われて、頑張らない人がいるだろうか?いや、いない。
受験も無事に終わり、あとは寺坂くんの本命の応援だ。数学が苦手な彼のために数学の参考書を余分に持ったカバンの中には、つい先程郵便で受け取った合格通知書がある。その中には、もちろん合格とかかれていて。さらに読み進めれば、「優良な成績を納めていたので、入学式の挨拶を頼みたい」そう書かれていた。
胸がおどる。殺せんせーになんと言おう。さっきそれを見たお父さんは真っ先に仏壇に向かってお母さんの写真にその合格通知書を見せていた。
『さすがは俺たちの娘だな、サナエ!」
お母さんの写真になすりつけたせいでぐっちゃぐちゃだけどね。
教室に着けば、なにやらクラスの雰囲気がどんよりしていた。その中心にいるのは竹林くんで、第一志望に落ちたのだそう。そんな中一位で突破したよーなんてとてもじゃないけど言えるはずもなく。私はとりあえず、大人しく席に座っていた。
けど、なんだかんだで殺せんせーの無意識な竹林くんの傷をえぐる発言などで全員の殺意が増して、結局殺し合いが始まったのだけど。
髪をシチサンに分けられたままゼーハーゼーハーいいながらぐったりしてる皆(もちろん私も)を見やってれば、そこにビッチ先生が現れた。
散々皆で禁止にしていた滑るやら落ちるやらを連呼したビッチ先生へと標的を変えた皆が、彼女に襲いかかる。もともと体育会系ではないインテリ派の私は戦線離脱して、まだ床でぐったりしてる殺せんせーに話しかける。
「先生?」
「はい、どうしましたか?新稲さん」
カバンの中からこっそり出した合格通知書を、先生に見えるように持ち上げた。
「...!!」
「合格しました、しかもトップで...!!」
嬉しさ満点の声でそういえば、殺せんせーは疲れていた顔なんて吹き飛んだのか目を細めてにっこりと笑った顔で、私の頭に触手を置いた。
「新稲さんなら、きっと大丈夫だと信じていました。おめでとうございます」
「はい、ありがとうございます...!」
ここがゴールなわけではないけれど。ここからがスタート地点なのだろうけれど。それでも、殺せんせーに認められるようなスタートをきれそうな事が、とても嬉しかった。
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