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「第二志望以内で全員合格おめでとうございます!!見事に第二の刃までで仕留めましたね!」
全員の高校受験が終わり、なんとか皆、上位の希望の高校で志望を決めることができたようだ。教卓の前に立ちながら、殺せんせーが拍手(拍触手?)しながら祝福の言葉を述べていた。
「皆さん誰もがキラ星のごとき高校へ進学!先生も肩の荷がおりました!本来このあと進路相談の予定でしたが、その前に先生ぜひやりたいことがあります。
このめでたき日にぃ〜〜〜やることといえばぁ〜〜〜」
随分とためるな。
私は内心苦笑を浮かべながら、浮かれ顔をしている岡島やその他男子を眺めながら、殺せんせーの続きの言葉を待った。
「編集作業です」
「「「「なんでだよ!!!!!」」」」
カツラを被った殺せんせーがペンを持ちながら大量の本に向き合っていた。
「もちろん卒業アルバムを作るんです、E組だけの」
ニコニコと笑いながらそう言う殺せんせー。
学校全体のものはすでに、烏間先生を担任の先生として作成してしまっていたから、殺せんせーはまだ一度もアルバムには載っていなかった。まぁマッハで写り込んだ心霊写真みたいなものはあるけれど。
「この中から、皆でベストの思い出写真を選定しましょう!」
机の上に大量に置かれている写真。私も席から立ち上がり、皆と同じ様に写真を眺めていった。
「んーベタな写真は正規のアルバムで使ったよな」
「もう一冊あるなら、意外性のある写真とか?」
原ちゃんの言葉に、殺せんせーはある一枚の写真を取り出して速水さんに見せた。
お任せあれ、その言葉のあとに見たものは、あのクールアンドビューティーといっても過言ではない速水さんが、猫にデレている写真。次に、夜の校舎で派手にエアギターをしている三村に、夜中の校庭を裸で走り回る岡島。
「...おいちょっと待て、ひょっとしてこの中には俺のスゲーやばい写真も入ってんじゃねーか?」
「「「それ以上のがあんのか!?」」」
岡島の言葉に全員がツッコミをいれる。女子はドン引きしていた。
私は失笑しながら、自分の写真はないかなと写真の中を見ていく。
愛美が実験で失敗しているところや、不破さんのなりきっている写真、そして私が引くほどにやけながら数学を解いている写真まであり、思わず恥ずかしくなってそれを破り捨てた。
「さぁつぎは学校行事の写真選びです」
殺せんせーの言葉に全員で写真を見ていく。
夏休み前の、全員が本気で頑張った期末試験。私が床にたくさんの紙を並べながら、律と2人で確率を計算しているところ、皆が採ってきたキノコを、写真を撮って解析しているところ、体育祭で、寺坂君と2人で写真を撮ってもらったところ。
「...これ、貰ってもいいか?」
皆がわいわいしながら選んでる時、私の隣に立ち、私の手の中にあったその写真を取った寺坂君が、殺せんせーにそう言った。
「...えぇ、是非。お2人分用意していますよ」
殺せんせーはそう言うと、どこから取り出したのか、私と寺坂君が2人で腕を組んで写真に写り込んでいる写真を、二枚手渡してきた。
少し恥ずかしいけれど、でも良い思い出だ。寺坂君は二枚手に取り、その一枚を私にくれた。
「ほらよ」
「うん、ありがとう」
にこりと笑ってそういえば、彼は少し照れ臭そうに頭を掻きながら、皆と同じように他の写真を選び始めた。カルマくんにちょっかい受けてるけど、それさえも少し、私は嬉しかった。
「ああしかし撮り溜めた量じゃ全然足りない!目標は1万ページの卒業アルバムを作ることなのに!」
「俺らがどんどん破ってるしな」
「広辞苑でも3千ページねーぞ」
気にくわない写真を皆がどんどん破っていく。
そりゃ恥ずかしい写真なんてアルバムに貼って欲しくないし。
「外にでなさい!衣装を変えて写真の幅を増やしましょう!」
そうやって殺せんせーは私たちに着替えを渡して、色々な写真を撮り始めた。二月からずっと、殺せんせーは好き放題していた。卒業するまでそのやりたい事にとことん付き合ってあげるべきなのかもしれないな、とふとおもっていれば、殺せんせーが大きなカバンに私たちを詰め込んだ。
「ぅわっと...」
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫、ごめんね」
同じように詰め込まれた寺坂君が隣に立ち、私の腰に腕を回してくれた。
「隣でイチャイチャしないでくれる?」
「うるさいカルマくん」
にやにや笑ってるカルマ君の足を蹴れば、寺坂君が呆れながら「てめーがいるからだろ」と言った。つまり、カルマ君からかばうために腰に手を回したということか。すこし嬉しくなって、私はにやっとしてしまった。
「世界中で皆さんと写真を撮るのです」
殺せんせーはそう言うと、やめろと言っている私たちの言葉を無視して、反動をつけて思いきりカバンに入った私たちを空に飛ばした。
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