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そこからは全力だった。紙を広げて、地図を書く。律はいないから自分の頭の中で思い描いている計算で解いていかないといけない。頼もしい相方がいないことに、軽く絶望さえ覚えた。

あとは戦い方も練習した。ずっとここに収容されていれば体も鈍っていく。動きながら相手がどうやって動いてくるか、それを計算してこっちでも動けるようにと。

「...新稲ちゃん」
「ん?」

机の上にある計算の塊たちを目で追いかけながら、頭で考えていた時。一緒に計算をしてくれていたカルマくんが不意に口を開いた。

「もし山の中まで入れたら、そっからは俺にも仕切らせて欲しい。...頼む」

一緒に仕切るなんて初めてじゃないだろうか。思わず目を見開いて、私は笑顔を浮かべた。

「もちろん」

残り、あと1日。





「どーすんだよ、全く脱出のチャンスなかったぞ。もう今日だぞ、レーザー発射」

落ち込むというのはこのことか。背中からがくりと落ち込みそうな時、扉がゆっくりと開かれた。自衛隊の人の声と女の人の声が聴こえる。この声は思いっきり覚えがある声で。


「あ〜〜ん生徒たち〜〜心配したわ〜〜」


ビッチ先生だった。彼女はそう言うと、竹林くん、三村くん、渚くん神崎さん矢田っちにキスをぶちかましたあと、「元気ならよーしじゃ帰るわ」と言って帰っていった。

え???

と思わずぽけーっとしていればキスされた皆が口の中から出したのは、ちいさく折りたたまれた地図など。そして、


「....!!僕の爆薬一式だ」


竹林くんの爆薬もあった。その地図をみれば、どうやらこの施設を脱出するもののようで、私達はついにこの施設から脱出することが可能となった。
夜に決行して、足音を立てないではしって逃げる。外に出れば、真っ黒な服をきたビッチ先生が壁によりかかり、私達を、待ってくれていた。


「遅いわよ。私の完璧な脱出マップがありながら」
「ビッチ先生、これは...」


矢田っちが皆の疑問を口にした。


「カラスマに頼まれてね。思ったよりかかっちゃったわ」


E組講師を口実に通って心を開かせて休憩室で見張り全員が談笑する習慣をつけて私達の脱出経路を作っていた。
おそるべし色仕掛け術。それよりも、あんなにたくさんの物を口に仕込ませて普通に話しながら皆にキスすることで移すなんてこと、この人以外にできるのだろうか。思わずさすがビッチ先生のキスと呟けば、隣に立っている寺坂くんに小突かれた。


「どういう結果になるのか私はしらない。けどどのみち明日は卒業式の日なんでしょ。最後の授業よ、存分に受けてらっしゃい」
「はい!!!」


ビッチ先生の言葉に全員で返事をする。
皆で最期の確認をして家に帰るために足を向けたとき、メグが大きい声で「烏間先生と一緒にきて!2人とも私達の大事な先生なんだから!」といっていた。それに皆で笑顔で振り返れば、ビッチ先生はそれは可愛い顔で頷いてくれたのだ。









「よくご無事で皆さん、マスター。お留守の間に空からの偵察は完璧です!」


久しぶりに触ったスマホからは律がそう声をかけてくれた。
イトナ君と屋上の床にすわりこみながら機械をかちゃかちゃと触っていれば、前原君が「よくこんなの整備してたなイトナ」といった。


「対殺せんせーの最終兵器の予定だった。新稲の頭を借りて前から準備していたが、違う奴らに使うことになりそうだ」
「...おけ、イトナ君こっちは完璧」
「わかった」


触り終えた部品から離れて、何度か超体操着の腕を引っ張りなど準備をしてみた。全員が集まり、移動を開始する。フードをかぶってできる限り夜に紛れる。


「時間がない。この潜入が間違いなく最後のチャンス。最後のミッションは、全員無事に登校すること」


磯貝君の言葉に全員が動き出した。
音を感じさせずに、ゆっくりとそれでも素早く歩いていく。最後の暗殺が始まった。


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