1

体育祭は、女子のバスケはあいにく負けてしまったけれど、男子の野球はなんと勝ってしまった。
見ているこっちとしてはものすごくテンションの上がるもので、終始興奮しっぱなしであった。
まぁ、理事長の大人げないいじめなんてものもあったけれど、勝ったのだからそれもご愛嬌ということにしておこう。


さてそんな体育祭も無事終わり、7月に入った。
昨日は菅谷くんの天才的な芸術をこの目で見ることができて楽しかったなー。
私もみんなみたいに書いて欲しかったけど、肌が弱いために遠慮をしておいた。


『そうかー新稲に数式とかのデザイン考えてたんだけど』


そう残念そうに言う菅谷くんを思い出す。数式のデザインなんて、とてもかっこいい!!是非描いて貰えば良かったなと若干後悔しながらも、皆の鮮やかに描かれた腕を見て楽しい1日だった。






「視線を切らすな!!次に標的がどう動くか予測しろ!!全員が予測すればそれだけ奴の逃げ道をふさぐことになる!!」



体育の時間。ナイフを持ちながら烏間先生へ攻撃を繰り出して行く。
私は運動が苦手だから、皆の動きを参考にしながら出来る限りの攻撃をする。



まぁそれでも、私には無理なんだけど。


「サチ、前より動けるようになってきたじゃん!!」
「え、まじ!?」
「まじまじ!!訓練頑張ってるおかげじゃない?」


体操部だったひなたにそう言われると、とても嬉しい。
少しほくほくと心を温めていれば、いつの間にか体育は終わりに。


「いやーしかし当たらん!」
「スキなさすぎだぜ烏間先生!!」
「せんせー!放課後街でみんなでお茶してこーよ!!」


そういったのはひなの。烏間先生ってこういう誘いに乗る人なのだろうか?私は愛美と話しながら、前にいる烏間先生を見つめる。


「...あぁ、誘いは嬉しいがこの後は防衛省からの連絡待ちでな」


そういった烏間先生は一人校舎へと戻っていった。



「烏間先生って、私生活も厳しいよねー...」


私の一言に、ひなのがしょんぼりとしながら呟く。


「厳しいけど優しくて、私たちのこと大切にしてくれるけど、でもそれってやっぱり...ただ任務だからにすぎないのかな...」
「そんなことありません」


ひなのの言葉に、殺せんせーが着替え終えたのか声を発する。


「確かにあの人は...先生の暗殺のために送り込まれた工作員ですが、彼にもちゃんと素晴らしい教師の血が流れてますよ」


烏間先生は確かに厳しいけれど、それでもやっぱり、きちんと私たちのことを考えてくれている『先生』だ。

私は一人、殺せんせーのその言葉に首を縦に振った。


prev next


ALICE+