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夜、母さんと父さんが仕事でいないためにコンビニでご飯を買おうと家を出た。
適当に弁当やお菓子を手に取りレジに並べば、知っている顔が店に現れた。



「あ...」



あっちも気づいたようだ。
俺はよぅ、と空いている右手を小さくあげれば、新稲は笑みを見せてこちらにやってきた。


「寺坂くんもご飯?」
「おう。お前もコンビニか?」
「うん」


そう言った新稲はじっと俺の弁当を見つめていて。
何だ、唐揚げ弁当が欲しいのかと思って聞いてみれば、首を横に振って、他に何があったか聞いてきた。


「他?あー...パスタとかしかなかったかもな」
「そっかーありがとう」


そして弁当コーナーの方に向かう新稲の背中を見つめる。制服以外で新稲の姿を見るのは初めてだった。

そういえば、夏だとは言ってももう夜だ。
仕方ない、あいつも女だし待っててやるかと俺はレジでお金を払った。






「...あれ、寺坂くん」


コンビニの扉が開いた。
コンビニの袋を下げた新稲がこっちに気づいて足を止める。
俺はやっときた新稲におせーよと頭を小突くために近づいた。


「帰らなかったの...?」
「もう夜だろ。送ってく」
「えぇ!?いいよいいよ!! 」
「あ?お前も女だろうが、いくぞ」


悪いからいいんだと何度も言う新稲の言葉を無視して歩き出す。諦めたのか、新稲がゆっくりと俺の隣に近づくのを感じ取りながら、ゆったりとした足取りで、こいつの家の方まで足を動かした。


「お前ん家どっち?」
「あの信号を右に曲がった先だよ」
「そうか」


意外に近いなと思った。
よく駅や公園で見かけたりしてたから、もしかしたら地区が同じかもとは思っていたが。


「お前いつもコンビニなのか?」
「ん?うーん...そうだね、たまに作ったりするけど」


こいつの家も共働きなのか。



俺はただ、そうとしか思っていなかった。





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