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今日は愛美の大好きな化学の実験がある。
一人一個お菓子を持ってきて、そこから着色料を取り出すという実験だ。私はお金がそんなにないので、駄菓子屋さんに置いてある安いお菓子を買って行ったけれど、そのお菓子を見て、カルマくんがうまそうと言った。
「駄菓子って意外に美味しいんだよね〜」
「そうそう。たまーに食べるといいよね」
「お、わかる口ですな」
「まぁね〜」
前よりかはカルマくんとも仲良く話せるようになったなーと思う。じゃないと困るけどね。隣の席だし。そうやってわちゃわちゃ言いながら授業も進み、終わりを迎えた。
「お菓子から着色料を取り出す実験はこれで終了!!余ったお菓子は先生が回収します」
殺せんせーがお菓子を触手でかき集める。
困ったなー私もできるなら欲しいんだけど...と、見つめていると、前で愛美がガタリと椅子を鳴らして立ち上がった。
「あ、あのっ...先生...」
いつもの愛美らしくない。オドオドしながら先生の前に立ち、そしてその手にある三角フラスコを渡しながら愛美はこう叫んだ。
「毒です!!飲んでください!!」
その一言に私たちクラスのみんなは全員椅子から転げ落ちた。
「...奥田さん、これはまた正直な暗殺ですねぇ...」
「あっあのあの、私みんなみたいに不意打ちとかうまくできなくて...でもっ化学なら得意なんで真心込めて作ったんです!!」
...愛美、それで正直に飲む人はいないんじゃ...と思っていると、殺せんせーはその毒を手にしてくいっと一口で飲みきった。飲むんかい。
まず一つ目を飲むと、先生は体を震わせる。効果があるのか?と思って見ていると、頭から何かつのが生えた。
そして二つ目を飲むと、次は苦しみながら羽を生やした。とりあえずなんか微妙な変化だな全部。
「では最後の一本」
そして、三本目を手にして飲む。みんなで、最後は一体どうなるのかと見つめると、先生はただの真顔になった。
「王水ですねぇ、どれも先生の表情を変える程度です」
先生の真顔、なんて薄い顔なんだろうか。思わず呆然と見つめてしまった。
「放課後時間があるのなら、一緒に先生を殺す毒薬を研究しましょう」
「あ、サチちゃん...」
「ん、先帰ってるからいいよ〜」
「はい!!」
なんて嬉しそうに笑いながら先生に返事をする愛美。このクラスに落ちてから、彼女とは毎日一緒に帰っていた。
あんなに嬉しそうな顔を見せられたら、頑張れと言うしかないじゃないか。
「...でもターゲットと一緒に毒薬作るって...ねぇ?」
「...後で聞いてみようか...」
ちょうど隣にいた渚くんと茅野っちにいってみれば、二人ともなんとも言えない顔で、あははと乾いた笑い声をあげた。
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