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1日コードネームで呼ぶ日に続いて、次は体育祭がやってきた。
なんでも磯貝くんのバイトがA組の浅野くんたちにバレたことにより、そのペナルティをかけてE組男子とA組男子対抗の棒倒しをすることになったそうだ。
数で言うならあっちの方が10人以上多いし、そうやって見せしめのようにする感じがA組のいけ好かないところだと思う。


私は運動が苦手だから体育祭はあまりやりたくないんだけどなーと思いながら原ちゃんのパン食い競争を眺めていた。


「お前何でんだっけ?」
「ん?騎馬戦」


隣にやってきたのは寺坂くんだった。
彼を見上げながらそう答えれば、寺坂くんはふーんと答えながら鉢巻を握っていた。


「棒倒し、大丈夫そう?」
「あ?まーなんとかなんだろ」
「そっか。私も、なんとかなるだろって思ってるよ」
「真似すんな」
「いて」


寺坂くんの言葉を借りただけなのに。頭をこつんと叩いてきた寺坂くんの足を軽く蹴ると、今度は寺坂くんに痛いと言われて、またやり返される。その繰り返しをしていると、パシャりと音が聞こえて。後ろを振り向くと殺せんせーがニヤニヤ笑いながらカメラを構えてこちらを覗いていた。


「あ、殺せんせーそれ盗撮」
「にゅや!?違いますよ新稲さん!!これは担任として、皆さんの輝いているところを収めようと...!!」


焦りながらそう言う殺せんせーに笑いながらまぁまぁといえば、殺せんせーは首をかしげながらこちらを伺った。私は寺坂くんを殺せんせーの方に振り向かせて、寺坂くんの腕に自分の腕を通す。


「撮ってね、殺せんせー」
「...はい!!任せてください、新稲さん、寺坂くん!!」
「な、お前、腕離せよ...!!」
「いいからいいから」


あ?と何度も言いながら、それでも結局はその腕を引き離そうとしなかった寺坂くんに笑いながら、私は左手でピースサインを作って殺せんせーのカメラに写った。


「はいはい、寺坂くんといちゃつくのは後にして、計画立てるよサチ」
「あ、原ちゃんお疲れ!!1位だったね」
「飲み物よ、パンは」


すごく勇ましくなって帰ってきた原ちゃんに笑いながら、私は寺坂くんの腕から離れる。
頑張れよと応援してくれた寺坂くんに笑顔で手を振って、原ちゃんと一緒に莉桜と愛美とメグのいるところへと行った。


「見せつけてくれるよねーサチ」
「何のこと?」


ニヤニヤ笑ってくる莉桜にとぼけながらそういえば、肘で脇腹を小突かれる。
それを見たメグが、パンパンと両手を鳴らして、計画立てるよとその場を仕切ってくれた。


「えーと、最終確認ね、前が原さん、右足が莉桜、左足が私。そして騎手がサチで、後ろを支えるのが奥田さん、おーけー?」
「うん」


メグの言葉に頷く。
愛美が後ろにいるから安心だけど、愛美は力がないし小さいから、落ちないように気をつけないと。


「戦ってる時の作戦は臨機応変に、サチに従うこと、いいね?」
「はいよ」
「大丈夫よ」
「はい」
「任せるね、サチ」
「おーけー」


ぐっと親指を突き立ててそういえば、全員首を縦に振って頷く。
クラス全員からの応援に手を振って、私たちは馬を作った。


「よし、行くよ」
「「「「了解!!」」」」


鉢巻をしっかりと結びながら、私は小さい声で指示を出していく。
他のクラスは二つずつの騎馬だけど、E組だけは一つの騎馬のみで戦う。こういうところにも姑息なルールが適用されていて、どうも気持ち悪い。

こういう時にこそ、空間処理能力を活かすときだ。




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