2

なんとか脱出する方法はないか。
新稲がフードをかぶり、アプリをちらりと見て俺たち全員の顔を見渡しながら口を開いた。


「寺坂くんは周りを警戒しておくこと。原ちゃんは他の班の動向を聞いておいて。他の人は各々で観察してほしいけど、内部構造の探りは分かれて上下左右で行おう」
「なるほど。壁だけではなく天井と床も見るということか」
「うん。特にそっちの壁と床は重点的に。私の頭の中では、今私たちがいるのは地下の端。隣が土とかではない限り、何か探れることはあると思う」
「そうね...やってみよう」
「うん」


俺にはよくわからないが、こいつらインテリ軍団は一人一人の個々の力ってやつが優れてる。運動が決して得意な奴らではないし、多分野に長けているオールラウンダーってわけでもないが、こいつらの頭が全て集結すれば、誰にも負けないオールラウンダーになるだろう。

力はないがな。


「...サチ」


原がイヤホンを耳につけてすぐに声を出した。


「ん?」
「...A班全滅したっぽい」
「何ぃ!?1分前に散ったばっかだぞ!?」
「冗談じゃない強さみたいね。戦えるA班を中心に据えた作戦だったのにうちらだけじゃ勝ち目ないわよ」
「バカいってんじゃねー!!俺とイトナでA班以上に戦力だっつの!!てめーらは安心して構えとけや !!」


狭間の言葉に俺がそう反論すれば、竹林が腕を組みながらイトナの操縦機を覗き込み、口を開いた。


「安心できるかはともかく...寺坂、何か変だよこの建物。内部構造を探ってはいるが...ドアのない壁の向こうにやたら大きな空洞がある」


竹林の言葉に、新稲も立ち上がり首を縦に振った。アプリの電源を落とし、携帯をポケットにしまいこみながら新稲はさらに続ける。


「空洞と、後少し水の音も聞こえる」
「私たちのためにそんな大げさな仕掛けを作るとは考えにくいね。もしかして...これが殺せんせーを殺すための罠なのかな」


不破の推理に全員が頭を悩ませた。
俺の頭にはそんなことを考えられるような脳みそも知識もねーから、全員の言葉を聞くことしかできないが。


「私たちを使って殺せんせーをおびき寄せようとしてるのは間違いないと思うよ。そしてこんな大掛かりな建物という名の罠を作ってる...考えられることは一つだね」
「なんだよ?」
「私たちも殺す気ってこと」


新稲がそう言い切り顔を上げれば、他の奴らも息を呑む。
確かに、あいつならやりかねねぇ。全員が沈黙している時、不意に後ろから声が聞こえた。


「期待はずれだ」


死神だ...!!
俺は背中に新稲達をかばう。死神は、他の班を捉えた証拠の画像を見せ、おとなしく捕まるか戦うか、どちらかの選択権をよこした。


「...上等だよ。行くぜイトナ!!俺とてめーで叩きのめすぞ!!」


イトナに向かってそう叫ぶ。俺は拳を握り戦闘態勢に入れば、後ろにいるイトナが俺の肩に手を置き、降伏だ、といった。


「たぶん格が違う。戦っても損害だけだ」
「...イトナ」
「今日敗北してもいい。いつか勝つまでチャンスを待つ」


俺たちは全員、捕まった。




prev next


ALICE+