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建物内に入ろうとした瞬間だった。窓の間から綺麗に一発、弾が流れて。欲しいと思っていた三雲くんが緊急脱出する軌道を見てしまった。

不甲斐ない、もう少し早めに動けていれば、あの時の視覚共有する時の眩暈のせいだなきっと。課題にしてるのに、やはりあの時間のロスは痛い。

「カゲごめんとられた!」
「真琴警戒しろ!」

内線から聞こえたヒカリの声に咄嗟に足元にグラスホッパーを出現させる。建物ごと吹き飛んだ爆撃の先は、空中から見るにどうやら雨取ちゃん。ついでに東さんも見えた。

人が撃てないとか聞いたけど、適当撃ちかな。だとしたらトリオンモンスターというのは怖い、適当に打てば当たる人は当たるだろうから。

空中でくるりと一回転。目があった東さんの照準から逃れるように、グラスホッパーを数個出現させて移動をする。当たらないと見たのか、東さんはすぐに雨取ちゃんを追いかけた。あの瞬時の判断力は毎度のことながら尊敬する。切り替えって、大事だよね。

「空閑を追う」
「ヘルプ入るわ」

雨取ちゃんのサポートに回ろうと動いた空閑君をおって、カゲも動き出した。建物から出てきたのは犬飼くんと辻君だ。彼らを誘導でもしてやろうと、地面に足がつく瞬間、グラスホッパーを足元に浮かばせた。走るのは遅い。だけどこれがあれば、すぐに追いつくことができるから。

「…っ赤坂さん…!」

後ろからとは卑怯な、なんて声がどこからか聞こえそうだけど、これも立派な戦術だろう。バッグワームを翻して、中に隠していた孤月を彼に振りかざす。

前にいる犬飼君はまだ雨取ちゃんを追っているようだけど、そこにユズルの射線が通った。彼はもういいだろう、辻君の孤月に孤月を合わせて、一度距離を置くために後ろに下がった。

「わぁお…」

犬飼君が緊急脱出。雨取ちゃんも同じく消えた。ここにいる人達は全員、どうやら攻撃手のようで。やっと合流できた自分の隊の隊員であるカゲは、私をちらりと見た後に耳を小指でほじくった。

バッグワームはもう意味を成していない。それを消して、片手にだした孤月を握り返す。同時にグラスホッパーを出現させた瞬間、全員が地面を足で蹴った。

まずは目の前の辻君だ。距離が近い、私の間合い。私に視線を寄越した辻君が孤月を顔の前に構える。小荒井君達はカゲと空閑君たちをねらっているようだし、ちょうどいいだろう。

「相手してよ、辻君」
「…っ、ちっ…」

辻君は、女の子が苦手らしい。戦う時は普通に接してくれるけど、普段は全然だ。今もこうやって話しかけても会話は成立しない。

残念だ。

カキンと鳴る音の後、どうにか辻君に一発与えたくても彼もトップランカーだからか難しい。旋空も中々出させてはくれない。間合いを取ろうと離れたらすぐに突進、近づけば後ろにさがって、虎視眈々とこちらを狙ってる空閑君の間合いにいれようとする。

凄いな、と純粋に思った。17才の頭はどうなってるのだろう。これは本格的に私も引退を考えないといけないかもしれないな、なんて思いながら。

足元に再度グラスホッパーを出現させた。

空に浮かぶ空中戦。旋空を出すにはあまりにも距離が足りない。私を見ている彼の目をみるに「この間合いは俺の間合い」とでも思っていそうだ。

更に空中で一回転。彼が孤月を伸ばした瞬間を見計らって、その剣先に足を乗せる。

「……っは…?」

抜いたのは孤月ではなかった。

辻君のこめかみ、中心にむけてイーグレットの銃口をつけて。両手で支えながらのトリガーを引っ張る。

ドンっ。

「んで…っ」

なんであんたがイーグレットを持ってる。

きっと最後にそれを言おうとしたのだろう彼は、ピキピキとヒビをいれて、空中へ飛ばされた。

「ごめんね、最後まで言わせてあげられなくて」

荒船君達に教えてもらったイーグレットは大活躍だ。そのまま地面に降り立って、内線からきこえるヒカリの「ナイス真琴!」の声に笑いながら、カゲのサポートにまわるために小荒井君達の背後からイーグレットを撃った。

「はっ、な、なんで赤坂さんがイーグレット!?」

雪をえぐる弾は一つも彼らに当たりはしない。今言ったのはどっちかな、多分奥寺君。

「当たってねーぞおい」
「私狙撃手じゃないから」

バッグワームの消えた今、いつでもなんでも取りだせる。右手にイーグレット、左手に孤月。カゲの背中に背中を合わせて周りを警戒すれば、明らかに驚いている顔がチラホラと。空閑君は何一つ顔色を変えていないから流石だ。

「視覚共有できてっか」
「任せて」

カゲの言葉に首を縦に振って、地面を蹴る。辻君に続いて、彼らの点ももらってしまおうではないか。


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