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受験期に入った。
担任の先生と面談をして、お前の成績ならどこでも大丈夫だろうというお墨付きをもらい、どこの高校に行くか、と友達と話す時期に入った。


「馨どこの高校いくの?」

「どうしようかなー...」

「お姉ちゃんと同じ所?」


私の友達、楓だけが唯一あの学年人気一位の愛ちゃんとわたしが姉妹であるという事を知っている。小学校が一緒のやつらも知っているけれど、だからといって私たちが双子だという噂は流れてこない。そりゃそうだ、あんな可愛い子の双子の妹が、普通の顔である私だったらみんな嫌に決まってる。現実を受け止められないだけなのだ、みんな。そして、私も。



「一緒の所には行きたくないから、色々探してみる」

「...そっか。早く仲良くなれるといいね」

「仲は良いよ。まぁ、どこでもいいや」

「私は陸上部の推薦あるから、そっち行く」

「じゃあ別れちゃうかもね」

「馨も、桐皇きたら?」

「...考えとく」

「うん、お願いね」





陸上部へと行く楓を見送り、先ほど先生とした面談の紙を見る。
特に取り柄はないけれど、勉強だけは頑張ってきた。その運が回って来たのだろうか、どこに行っても大丈夫だ、と。

本当は家を出たい。
姉が嫌いなわけではないけれど姉と比べられるのが嫌だ。離れたい。でも、世間一般的には悪いのは頑張っても結果がついてこない私。

姉が悪いんじゃない、私が悪いんだ。

そう暗示して、今日も私は彼女に嘘の笑みを見せる。







「馨、どこの学校受験するの?」

「お姉ちゃんは?」

「私、桐皇にしようかなって思ってるんだー。まだ決めてないんだったらさ、馨も桐皇おいでよ」

「桐皇かー友達がそこ行くって言ってた。考えてみる」

「ほんとう!?」



夜にリビングでその話しを姉としてから、私には桐皇に楓といくという選択肢がなくなった。
家をでたい。だけどそんなわがまま、妹である私が通せるわけもないし、中学生にかなうものでもない。せめて高校は違う所に行きたい。
でも、親としては同じところにいってもらう方が楽だとは思う、とかそんな事を考えてしまう。


どこに行きたいのかと問われれば、とりあえずは桐皇以外だ。









「妹にね、桐皇行くっていったら考えてくれるって!!」

「本当に!?じゃあ会えるんだねー」

「うん、紹介してあげるね!!」


ピンクの色をした髪の可愛い女の子に、姉がそう言っているのが聞こえた。私を紹介しようと考えてるらしい、彼女。一度私は、紹介しなくていいと断ったはずなのに、まだ考えていたらしい。

普通の私を紹介した所でだれもこんな私、お呼びではないのに。

自分の方が優れてるって姉は知ってるはずだ。そういう顔でいつも私を見ているし、そこには姉妹関係の感情いがい見当たらないけれど、私にとってそれが一番のコンプレックスなのだ。


そして、少し我がままな所も、私が出来ない事を彼女が私にはできるんだとみせつけているようで嫌いだ。
考え過ぎかもしれないけれど、そういう所は本当に受け付ける事ができない。




「お母さん、お父さん、話しがあるんだけど」

「どうした?」

「どうかしたの?」


夜。まだ部活で帰ってこない姉がいない時間を狙って、リビングでのんびりとしてる両親に話しをふった。


「高校の事なんだけど」

「桐皇に行くんでしょ?お姉ちゃんもそこだから」

「仲がいいな、小学校からずっと一緒か」


私の気持に何も気付かないでそう言う二人。
ばれないように拳を強く握りしめて、口を開いた。


「私、桐皇には行かない」

「お姉ちゃんと一緒の所に行くんじゃないのかい?」

「行かない」

「...そうか、馨ももう高校生になるんだもんな」


お父さんがしみじみと言う。ずっと私たちは一緒だったとでも思っているのだろうか。
姉にそっくりな髪を持つ父、姉とそっくりな顔の母。
自分の親なはずなのに、すごく見ていて気持悪くなって、言ってしまった。



「家も出たい」

「.....え?」

「我がままだって分かってる。だけど、お願いします」


初めて親に頭を下げた。
今まで私は我慢をしてきた。全てお姉ちゃんに譲ってきた。生活費もバイトして稼ぐから、だからお願い、と何回もお願いした。


「何馬鹿な事言ってるんだ。まだ高校生だ。一人暮らしなんてさせれるわけないだろう」

「そうよ。お姉ちゃんと一緒のところじゃないなら、色々と学費の違いだってでてくるんだから」

「高校決めたら、言いなさい。違う高校なら、行かせてあげるから」




もう話しは終わりだ、とでも言うかの様にリビングを追い出される。
私の我がままは聞いてくれない。そりゃ、一人暮らしさせてくれ、というのは本当に大きな我がままだって事も気付いているけれど。少しくらい理由を聞いたっていいじゃないか。



涙が流れそうになってあわてて袖で目をふいた。
一人暮らしは諦めよう。家を出る事はできないみたいだ。なら、できるだけ桐皇と違う場所に。
机の上に積み重なってあるパンフレットを、何回も何回も読みあさった。






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