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学校の帰り。最終進路面談の紙を渡され、まだ進路を決めていない人は明日までに提出しろと言われた。
あれからずっと、どこの高校に行こうか迷っている。
寮がある所に行こうか、と何度も考えた。全寮制なら仕方ないだろう、と。だけれど、一度あんな事を言ってしまった手前、寮がある所にいこうとすれば止められるに決まってる。



「困ったなぁ...」



公園で1人溜め息をつく。
辺りはもう真っ暗で、秋に近づいてるのだから少し肌寒い。
補習があると親に嘘をついて、今日はできるだけ遅くに帰ろうと決めていた。


誰もいない公園。ブランコに1人で乗って空を見上げた。あぁ、どうしよう、なんて。まるで自分がこれ以上無い程の悩みを抱えているかの様に。



「こんな所で1人でいたら危ないよ?」

「...え?」

「駅まで送ってあげようか?」



見知らぬ男の人が目の前にいた。
サラリーマンなのかくたびれたスーツをきていて、直感でこいつは危ない、と思った。


「いえ、大丈夫です」

「でも寒いでしょ?もしかして家出?泊めて上げようか?」


私は一体こいつにどう見られているんだろうか。
別にそんなんじゃないし、ただ進路で悩んでるだけなのだからほっといてほしい。
そいつがわざとらしく心配そうな声を出して私に腕をのばしてきた。

逃げるしかない、と鞄を強く握ったとき。



「あ、ここにいたー。探したんだぜ?」




知らない男の子の声が聞こえた。



「あれ、おっさん誰?」

「いや、別に、なんでもないよ...」



その子が男に睨みつけるように言うと、男はそそくさと公園を出て行った。
あぁ、助けてくれたんだな、と理解して一言ありがとう、と呟いた。



「いや。でも実際この時間にここにいるのは危ないっしょ。もしかして本当に家出とか?」

「家出ってわけじゃないけどね」


その男の子は初対面にも関わらず、笑顔で私の前に来る。
「高尾和成。そっちは?」と、私が乗ってるブランコの前の冊に座りながらそういう高尾君。


「一堂馨」

「一堂ちゃんか。んで、どうしたの、この時間に」

「進路に悩んでるの」

「ほー。中三?」

「うん。高尾君も?」

「俺も」


まるで私を見てるかのように笑みを絶やさない高尾君。
同じ中三だと聞いて、どこか心がほっとした。

「どこの高校に行くか迷ってる感じ?」

「そんなかんじ。高尾君はもう決めたの?」

「決まってるよー」

「そっか」


旧知の仲のように話しがトントン拍子に進む。高尾君は私以上にコミュ力が高いようだ。
彼は秀徳高校に行く事に決定しているらしい。バスケでは名門である秀徳のバスケ部に入ってある人を倒したいのだそうだ。
いいね、目標があるって。純粋に羨ましい。


「一堂ちゃんは何も決まってないの?」

「うん。何になりたいのか、とかも何も。部活にだって入ってないし」

「そっかー。ここに行ってみたい、とかは?」

「逆に桐皇にだけは行きたくない」

「こだわり?」

「こだわり」


初対面相手に何いってんだかと思った。だから話しはここで終わりにして、家に帰ろうとブランコからおりる。
その時に高尾君に渡されたメモ帳。そこには彼のメールアドレスなのか、アルファベットが羅列してあった。


「メールしてよ。相談事なら、俺得意だぜ?」

「...っぽいね。まぁ、メールしてみる」

「待ってるよ」


にやりと笑いながらいう高尾君に、私も笑って一緒に公園を出た。
家の周辺まで送ってもらい、また会えたら会おうと約束とも言えない約束をして、家に入る。

前よりかは少し肩の荷が落ちた気がした。



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