05
とても仲の良い女子生徒がいる。
マネージャーの桃井さんとは別で、よくわからないけれどいつの間にか仲良くなっていた人。
影が薄くて、よく人に気付いてもらえない僕だけど、その人はいつもすぐに見つけてくれる。
いつか、どうして僕をすぐ見つけられるんですか、と聞いた時に彼女はこう答えた。
「君の周りがとても穏やかだから」
何について言っているのか分からなかったけれど、褒めてもらえたような気がして嬉しかったのを覚えている。今もその意味については理解していないけれど。
そんな彼女は生徒会長で、よく緑間君や赤司君と三人でいるのを見かける。上位を占めている三人だから、よく学年トップスリーがいる、と囁かれている。
と言っても、一位は必ず赤司君で、二位と三位を緑間君と相葉さんで争っている、という感じなのだが。
最初こそ、彼女と話すのはためらいがあった。
第一印象はクールな人。一匹狼のような印象もあった。だけれどそれは全く違っていて、いつも笑みを絶やさない人で、とにかく周りにはいつも人がいた。生徒や教師からも頼られていて、本当に尊敬できる人。
彼女は面倒見もいいのか、よく青峰君に勉強を教えていたり、意外だったのが紫原君にお菓子をあげていたりしている。
紫原君もなついているか、彼女の言う事には耳を傾けている。
彼女は凄い。
「あ、黒子君」
そうやって、今日もすぐに僕を見つけるんだ。
「こんばんは。まだ生徒会ですか?相葉さん」
「そうだよ。部活終わったの?」
「はい」
初夏とは言え、夜になると肌寒い。
少し薄めの膝掛けを肩にかけながら自販機で買ったのであろう缶コーヒーを片手に相葉さんは話しかけてきた。
「大変ですね」
「バスケ部もね。生徒会は頭だけど、バスケ部は体力的にも精神的にも疲れるでしょ。お疲れ様」
「いえ。相葉さんも」
「ありがと」
最近困ってる事とかある?と、相葉さんはコーヒーを開けながら聞く。
一時期、練習が滞った時期があった。誰が悪いわけではないのだが、それでもモデルである黄瀬君を目当てにくる女子生徒で溢れかえったとき、生徒会である相葉さんが助けてくれた時があったのだ。
あの時はバスケ部全員でお礼を言いにいった。赤司君と特別仲の良かった彼女のおかげで、今もこうして練習できているのだ。
「そう、ですね」
だが、最近またそういうことが起こった。今回は特定の女子生徒のせいなのだが。
転校してきた愛川という名前の女子生徒。
黄瀬君だけでなく青峰君や緑間君、一軍のレギュラーメンバー全員のファンなのかという程に強烈な女子生徒。
最近はマネージャーである桃井さんをいじめているのかよくわからないが、桃井さんもとても迷惑を被っている。どうにかならないのか、とよく赤司君に相談しているのだが。
「あぁー...愛川さんね」
不思議なぐらい、学校の全男子生徒が彼女に好意をよせているのだ。
本当に。よくわからないけれど。
相葉さんは苦笑を顔に浮かべて、今対処中だ、と言った。
「そうだったんですか」
「ん。バスケ部だけじゃなくて、一般女子生徒も結構迷惑してるからね」
彼氏があいつにとられた、と泣いていたクラスの女子生徒を思い出した。
「...いつもありがとうございます」
「いえいえ。生徒会は生徒のためにありますから。それじゃあ、部活お疲れ様、気をつけてね」
「はい。相葉さんも頑張って下さい」
「はいよー」
僕はそのまま玄関の方へといき、先に校門にいた桃井さんと落ち合った。
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