放課後、いつものように愛美、原ちゃん、莉桜の4人で帰ろうと廊下を歩いていた。
今日の殺せんせーの授業はとてもわかりやすかった、なんて話ながら、すれ違うクラスの皆にバイバイといいながら歩く。
すると、不意に名前を呼ばれた。後ろを振り向くと、そこには吉田くんと村松くんと寺坂くんに三人がいて、何やら村松くんと吉田くんの二人はニヤニヤと笑っていた。


「どうかした?」


寺坂くんは少し顔を赤くしていて、両隣の村松君たちは寺坂君の肩をポンと叩きながら頑張れよと言って歩き出す。すると、何かを察したのか愛美と原ちゃんと莉桜までもが私の肩に手を置いて先に帰るねと一言言って、私を置いて歩き出した。

目の前には少し顔を赤くした寺坂くん。
私は何となく察知して、肩にかけているカバンの紐をきつく握った。

スゥ、と息を吸う音が聞こえる。寺坂くんを見上げれば、彼は私の目を見つめながら、口を開いた。


「好きだ、みょうじ」


その言葉に、私の鼓膜は揺さぶられる。思わず溢れる涙に、寺坂くんは慌てながら私の顔を覗きこむ、悪い、大丈夫か、どうした?そんな心配の言葉にクスリと笑みをこぼして、私は彼の手をぎゅっと握る。


「...私も」

「...え?」

「私も、好きだよ、寺坂くん」


その言葉に、寺坂くんは目を見開くと、徐々に顔を真っ赤にしていく。
それが茹で蛸のようで面白くて思わず笑い出すと、寺坂くんは笑うなと少し私を睨む。それは照れ隠しだって知っているから、怖くなんかないといえば、不意に寺坂くんはその顔を私の顔に近づけた。

思わず目を瞑れば、彼の手が私の瞼を触っていて。


「バーカ」


と、私を茶化す言葉を添えながら涙をすくってくれたのだ。



 
ALICE+