12


目を開けると、見慣れた自室の天井じゃなかった。

「へ!?」

慌てて飛び起きると、ばさりと音を立ててローブが落ちる。拾い上げたそれはスリザリンのものだった。どうやらわたしは必要の部屋のソファで寝落ちしたらしい。…あれ、昨日の夜って何やったっけ。盾の呪文の練習して、普通の呪文の練習して、ハウンド先輩に勉強も少し教えてもらって…あ、その辺から記憶がないや。そういえばハウンド先輩はどこだろう? 部屋を見回してみたけど、先輩の姿はない。

「帰っちゃったかな」

まあ寝落ちたわたしに付き合って先輩までここに泊まる必要はないしね。授業始まる前にローブ返さなきゃなあー。そう思いながら立ち上がると、何かが地面に落ちる音がした。――ピアス?
自分の両耳に手を持っていくと、普段そこに付いているものがなかった。わたしのピアスか。いつもは外さずに寝てしまっている。なんか外すと落ち着かないんだよね。今もちょっとそわそわするし。屈んでピアスを拾い上げようとしたら、扉が開いた。

「あ、先輩。おはようございます」
「おはよう」

先輩もこの部屋で寝たんだろうか。寝られるような場所はわたしの居るソファしかないけど、先輩が床で寝るとは思えないなあ。先輩の寝癖一つないサラサラの髪の毛を見ながら、自分の髪の毛を触ってみる。これは…多分寝癖がひどい。

「今何時ですか?」
「まだ朝食には早い。多分寮に戻ってもほとんど誰も起きていないだろうから、早く戻ったほうが良い」
「わかりました。あの、先輩もここに?」

先輩は小さく頷いた。まさか床で寝たとは思わないけど、先輩が寮に帰らなかったのはきっとわたしが居たからだろう。申し訳ないことをしたなあ。
先輩は机に置いてあった荷物を持って部屋を出て行った。わたしも戻ろうっと。




「ナマエ?」
「あ、ディゴリー先輩!」
「セドリックでいいよ。早起きなんだね」

結局返しそびれたローブを抱えてグリフィンドール塔へ歩いていると、声をかけられた。セドリック先輩は朝日を浴びてどこかキラキラして見える。眩しい…。

「なんだセド、知り合いか?」

セドリック先輩の後ろからひょっこり顔を出したのは、セドリック先輩より少し背の高い青年だった。制服をきっちり着ているセドリック先輩とは違い、ややルーズに着ている。ネクタイは黄色。セドリック先輩の友達かな。

「後輩だよ。最初の授業のときに道に迷っていたんだ」
「最初の授業で迷うのか」

ゲラゲラ笑った先輩。なんか失礼な人だなあ。少しムッとなったわたしに、先輩は「悪い悪い」と笑った。

「俺はハッフルパフのギルバート・ブラッドリー。セドの親友だ」
「わたしはグリフィンドールのナマエ・ミョウジです。よろしくお願いします、ブラッドリー先輩」

お辞儀をすると先輩は「ギルでいいよ」と笑いながら頭に手を置いた。その手がわしゃわしゃと髪の毛を撫でる。そういえば寝癖つけたままだった!
慌てて髪の毛を整えようとすると、セドリック先輩が少し笑った。

「引き止めて悪かったね、寮に戻るところだったんだろう?」
「あっ、そうでした。それじゃあわたしはこれで」
「道に迷うなよ?」

からかうようなギル先輩の声に、「迷いません!」と返事をしてわたしは寮へと急いだ。

←