突然頭の上から聞こえてきたしゃがれた声と、直後に聞こえる大きな歓声にポカンとした。え、ここ、どこ?
「さあ、グリフィンドールのテーブルはあちらですよミスミョウジ」
呆然とするわたしを他所に、わたしの頭から帽子(もしかしてさっき叫んだのってこれ? や、まさかね、だって帽子だよ?)を脱がせた女性が四つ並んだテーブルのうちの一つを指差す。
促されるままフラフラそちらに向かえば、黒いローブみたいなものを着た大勢の男女が拍手をしながら迎えてくれた。
「良く来たなお嬢さん」
「ようこそ、我等がグリフィンドールへ」
「ああ、はい、どうも…」
両脇から出てきた二つの同じ顔が、交互に喋る。なんなんだこの人たち。…いや、わかるよ、わかるんだけどさ。
ここはきっと『ホグワーツ魔術学校』で、わたしはたった今組み分け帽子によって『グリフィンドールに組み分けされた1年生』なんだろう。いや、えっと、つまりどういうこと?
わたしはさっきまで部屋でスマホをいじっていた。最近はじめたゲームがおもしろくて、ついつい課金しそうになる欲を抑えつつ地道に進めていたはず。それが、気付いたらグリフィンドールに組み分けされる瞬間だった。信じられない。前のわたしはとっくに成人をしていて、つまりホグワーツから手紙が届くような年齢じゃなかったし。もうホントに、いったい何が起こったんだろう。誰か頼むから説明して欲しい。
よろよろしながら後ろのほうの、開いている席に座った。目の前のお皿には何もない。組み分けはまだまだ続くようだった。未だ状況を理解できないわたしは次々と組み分けされていく子達を見守る。だってそれしかできないし。
…ここ、ハリー・ポッターの世界でしょ。今がいつかわからないけど、テキトーに過ごしてたら最悪死ぬ。あそこにいるのがダンブルドアなら、まだヴォルデモートは復活していない、はず。さっき話しかけてきた人がわたしの予想のとおりで、本当に最悪な場合、わたしの在学中にホグワーツに死喰い人が来る可能性だってあるってこと。…無理、死ぬ。
何でここにきたのかもわからないまま痛い思いをして死ぬのなんて嫌だな。死ぬなら老衰がいいってずっと思ってるし。
闇の魔術に対する防衛術、絶対に真面目に授業聞こう。魔法の自主練習ってさせてもらえるのかなあ?
「ポッター・ハリー!」
ぼうっとしてたら聞こえてきた声に、わたしはテーブルにしたたかに頭を打ち付けそうになった。
よりにもよって、同学年じゃん!
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