08


頼んだメニューをデザートまでしっかり美味しくいただいたわたし達は、せっかくソライロタワーに来たんだからということで展望デッキに向かうことになった。
お昼時だからか、なんだか人が全然いない。エレベーターまだかなー。

「あれ、あの、もしかしてIDOLiSH7の方ですか?」
「え」

声をかけられて振り向くと、美人なお姉さんが少し緊張した様子で立っていた。

「そうですけど」
「やっぱり! 私、ファンなんです。いつも応援してます!」
「Oh、アナタの様な美しい女性に応援して頂けるとは光栄ですね」

六弥はお姉さんの手をぎゅっと握った。お姉さんは驚いた様子だけど、まあ六弥のような美人にされたら嬉しいよね。ファンって言ってたし。
そのまま流れで四葉、二階堂くんと握手をしたお姉さん。それにしてもエレベーター遅いなあ。

「エレベーター、来ないですね」
「混雑してるから仕方ないですよ。きっと直ぐに来ますから、安心してください。……さすがに階段は無理ですもんね」
「まあ階段で行く気にはならないな」

へえ、階段でも行けるんだ。でもせっかくエレベーターなら外の景色を楽しみながら一瞬で着くのに、わざわざ階段なんて、使う人いるのかな?

「あ、来たよ」
「よし、じゃあ行くか」
「それでは私は用事がありますので、失礼しますね」

ちらりと腕時計を確認したお姉さんは「次のライブ、楽しみにしてます!」と言って去っていった。

「君たち、ホントにアイドルなんだね」
「なんだよあだな、疑ってたのか?」
「いやそうじゃなくて…なんだろうね、改めて実感したみたいな?」

四葉は「ふうん」と興味なさげに頷いた。冷静に考えるとこの空間の顔面偏差値やば過ぎないか?
そんなことを考えているとエレベーターは展望フロアに着いたようで、独特の浮遊感を感じたあと扉が開いた。

「おおー、貸切」
「ほんとに人が居ないねえ」

観光スポットだというのに、フロアに人はひとりもいなかった。お昼時だから…にしても、ここまでいない事ってある?

「みのりん、パトカー」
「ヘリコプター飛んでます!」
「なんだあの人だかり…」
「…え?」

パトカーにヘリコプター、人だかり?
外を眺めるみんなに続いて窓に近づけば、タワーの下の方にはたしかに大勢の人とパトカーがいた。遠くにはヘリコプターも見える。

「何かあったのかな?」
「あれテレビ局のヘリだよな」

二階堂くんは目を細めてヘリコプターを見ている。ヘリコプターには有名なテレビ局のロゴがついていて、なんか勘違いじゃなければこのタワーを映してる気がする。

「みのり、ヤマト、これを見てください!」
「なんか、すげーもんがある!」

今度はなんだ、と六弥と四葉の呼ぶ方へ近づけば、誰かの忘れ物と思われる紙袋があった。すげーもんってこれ? ただの紙袋じゃん。
備え付けのベンチの下からズリズリと引きずり出された紙袋はなかなかの重さで、何が入ってるんだろ?

「中見てみろよ!」
「んー…ん!?」

言われて覗き込むと、なんか箱から赤とか青のコードが飛び出てて、箱の真ん中にはデジタル時計。なんか、あの、あれみたい。

「爆弾みたいだな」
「あ、やっぱりそう見える?」

わたしもそう思うよ、デジタル時計の時間は残り2時間くらい。よく出来てるけど、撮影かなんかだろうか。もしかしたらわたし達撮影の邪魔なんじゃない?

「あ、あなた達!」
「うわあ、ごめんなさい!」
「あ、さっきの…」

咄嗟に何故か謝罪が出てきたけど、声の主は先ほどのお姉さんだった。お姉さんは驚いた顔をしている。どうしたんだろう、まさかお姉さんが撮影スタッフか何か?

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