生まれてきてくれて―――
「誕生日おめでとう！自分の事みたいに嬉しいわ。ごめんなさいね、仕事が無ければ朝にも祝ったのに……」
「姉さん……！いいえ、嬉しいです！ありがとうございます！」
「私も義弟が今日の日を迎えた事を心より祝っているよ！」
「いや何で居るんですか」
「非道い！私だって喜んでいるというのに！」
「は、はぁ……それはすみません……」
「本当にありがとうございます。これからもこの子の善い先輩で居てあげて下さい」
「はい勿論です！そしていつか兄として―――」
「僕をダシにして姉さんを口説かないでください」
「ふう……やっと追い出した……」
「ふふ……」
「？如何したんですか姉さん？」
「今日は如何だった？」
「！」
「探偵社の皆さんが祝ってくれて……僕なんかの為に。僕……幸せです。今までで一番、幸せです」
「良かった……」
「……姉さんも、一緒に居てくれるから」
「……当たり前でしょう。私は貴方と一緒に居るわ。あの孤児院を出る時にもそう云ったでしょう？」
「……はい！」
「取り敢えず、『僕なんか』って云うのは止めなさいね」
「え、あ、あはは、つい」
「皆、貴方の事を大切に思っているのだから。貴方は、私の大切な家族で、皆さんの大切な仲間なのだから」
「―――――はい！」
「誕生日、おめでとう―――生まれてきてくれて、ありがとう」
ツイート：2017.05.05