新婚生活シリーズ

(BSD太宰マフィア時代。
少し病んだ太宰さんと幼馴染の女の子の『新婚生活』。
時系列バラバラ。漢字の使い方は原作と違います。)

※注 監禁・流血の表現があります。





触れてくるその手も濁ったその眼も私を縛るこの鎖も、「愛してる」なんて言う貴方の言葉も。外面は美しいのに中身がどろどろと黒くてそれを隠そうともしてなくて、嗚呼、気持ち悪い、怖い、気持ち悪い。
でも、その笑顔だけが。
愛を囁くその笑顔が綺麗過ぎるから、私は今日も貴方に縛られるの。
きれいに汚れたひと。
お題:『一人遊び。』お題bot 
ツイート:2017.02.26


私の薬指には傷が有る。彼によってつけられたソレは二人の婚約の証だ。
彼はうっとりと傷を眺める。この指はもう他の者からの指輪など嵌められない。
傷という名の彼からの愛が痛いから。そして私が、どうしようもなく彼を愛してしまっているから。
傷を愛した薬指
お題:喉元にカッターお題配布bot 
ツイート:2017.02.26


彼との暮らしに終わりはない。ある日突然始まって、今日からここが君の家だなんて言われて。これがよくある物語ならば、エンディングがあるのだろう。でもこの日々に終わりは見えない。
私は彼に囚われてしまいました。
ただ、それだけ。
エピローグも無い話
お題:喉元にカッターお題配布bot 
ツイート:2017.02.27


「この通路は、二人の秘密」なんて言って笑ったのは貴方だった。
「君が逃げてしまうかもしれない」と言って塞いだのも貴方だった。
貴方が安心するならば、それでいいけれど。
私は、貴方との思い出がひとつ、失われたようで、なんだか寂しい。
秘密の抜け道、塞いだのは貴方。
お題:『一人遊び。』お題bot 
ツイート:2017.02.27


くるくるくるくる、貴方が私に包帯を巻く。
「君を守る為なんだ。だって君は綺麗だから。綺麗な侭でいられるように」
何故包帯なの?私の肌は傷なんて無い。
貴方につけられた、薬指の傷以外は。
でも貴方は、そこには包帯を巻かないのね。
包帯の下は無傷。
お題:『一人遊び。』お題bot 
ツイート:2017.02.27


呆然と左手を見た。薬指からはまだ血が滴っている。目の前では幼い頃から親しかった青年が笑っていて、痛みより恐怖が頭を支配した。
血がついたナイフを捨てて、彼が鎖を手に取る。指からはまだ血が花弁の様に落ち、床に赤い花を咲かせていた。
花が散り、色が咲く
お題:喉元にカッターお題配布bot 
ツイート:2017.02.27


一瞬で好きになったのは、幼い時。彼の笑顔を初めて見た時。
少しずつ好きになったのは、閉じ込められてから。恐怖が好意に変わるなんて可笑しいかしら。
でも、彼が偶に泣きそうな顔をするから、逃げたいなんて思わなくなってしまったの。
恋は落ちるもの愛は芽吹くもの
お題:喉元にカッターお題配布bot 
ツイート:2017.02.28


「結婚するって言ったじゃないか」
何故、と言ったら、彼は笑ってそう返した。それは随分と昔の約束だ。幼い頃の、他愛ない約束。
それが今、私に突き付けられている。今まで果たされる可能性のなかった約束が、破ることを許さない契約として。
破り続けた約束による窒息死。
お題:『一人遊び。』お題bot 
ツイート:2017.02.28


君が私の前から消えてしまうのが嫌で、私は君を閉じ込めた。
「ごめんね」と言うと、君は微笑んで首を振る。君はまた笑ってくれるようになった。その笑顔が儚いから、また不安に襲われる。
どうか消えないでと祈りながら、君を抱き締めた。
濡れた肩だけが、君を抱き締めた証拠。
お題:『一人遊び。』お題bot 
ツイート:2017.02.28


彼は毎晩毎晩囁いてくる。逃げ道なんて無いことを。この部屋から出たら、彼がするであろう酷いことを。そして、彼にそこまでさせる、私への愛を。
それらは私の心に刺さって抜けることはない。
でも、その痛みすら、今の私には大事なもので。
抜けない棘を愛したの
お題:喉元にカッターお題配布bot 
ツイート:2017.02.28


「家に帰りたい」
嗚呼、また君が泣いている。ここが君の家なのだと何度言い聞かせても聞いてくれる気配が無い。
近づく気配を感じたのか、君が顔を上げる。涙が浮かぶ目に映る自分は、今どんな顔をしているだろうか。
濡れた瞳は闇を映す
お題:喉元にカッターお題配布bot 
ツイート:2017.03.01


彼が泣きそうな顔をする時、言うことは二つ。
「君が消えてしまいそうだったから」と、「ごめんね」。
彼がそう言う度、私は首を横に振る。貴方は何も悪くない、と。
でもそう言うと、彼はもっと顔を歪めてしまう。それが少し悲しい。
君の嘘は、優しすぎて嫌いだ
お題:喉元にカッターお題配布bot 
ツイート:2017.03.01


「貴方となら、死んでもいいわ」なんて、君は言う。
「でも少し怖いから、寝ている間に殺してくれる?」とも。
君が眠って、その首に手をかけて、微かに嗤う。出来る訳が無い。
そうして隣で眠れば、嗚呼、まるで、二人で死んでいるような―――。
グッバイメリー、よい夢を
お題:喉元にカッターお題配布bot 
ツイート:2017.03.01



「私と結婚してくれないか」
「結婚……?私達、子供だよ?」
「そうだね。でも年齢なんて、形式的な手続きだけに必要な物さ。……君に一生傍に居て欲しいんだ。駄目?」
「……私も。私も貴方と一緒に居たい」
「じゃあ結婚してくれる?」
「勿論!……あ……でも、矢っ張りまだ、その、心の準備が……」
「ふふ、相変わらずだね。良いよ、待ってあげる。

 ―――君が十六になるまでに心を決めてね。でないと、迎えに行くから」
あの日が君を縛ってる
お題:喉元にカッターお題配布bot 
書き下ろし:2017.03.06

ALICE+