もしもし?!おいテメェ、ユウリがテッカニン苦手なの知っててわざとバトルに出しやがったな!ふざけんじゃねえ!
…ハァ?!知らねえとは言わせねえからな!散々テッカニンだけは出すなって言っただろうが!これが落ち着いてられっかよ!アイツ気ィ失っちまったんだぞ!

───…ああ。悪い、俺も取り乱しちまった。ただ、今後は本当に止めてくれねえか?アイツ、テッカニンには酷いトラウマがあるんだよ。…いや、虫ポケモンが苦手だとか、そういうレベルの話じゃねえ。本当に…怖い思いをしたんだ。
分かった、話してやる。ただ、これを聞いたらお前ももう普通にテッカニンを見れなくなると思うぞ。それでも良いのか?…はは、大した根性だ。それじゃ、よく聞いとけよ。

あれは、ユウリがチャンピオンになった年の夏だったかな。
次のリーグ戦までには時間があるし、それまでにポケモン図鑑の更新も兼ねて今まで育てていなかったタイプのポケモン達に手を掛けたい、そう言ってユウリが手を出したのは、虫ポケモンだった。確かにユウリの図鑑に登録されている虫ポケモンはキャタピーとサッチムシくらいで、それも進化させてからは全く育ててなかったんだよ。
で、次に育てるのをツチニンかヤクデのどっちにするか悩んでた。ユウリの手持ちのバランス的に、ほのおタイプはエースバーンがいたからな、まずはツチニンから育てることに決めたんだ。
お前、知ってるか?手持ちに空きがある状態でツチニンがテッカニンに進化する時、いつの間にか勝手にボールに入ってるっていうポケモンのこと。そうそう、ヌケニンだよ。名前の通り、抜け殻のポケモン。アイツってさ、手持ちに空きがない時はなぜか手に入らないんだよな。それをすっかり忘れてたんだ、あの日の俺とユウリは。

ツチニンを連れてワイルドエリアでバトルに明け暮れた。疲れたらキャンプでカレー食って、体力回復したらまたバトル。
俺もちょうど育て中のポケモンがいたから、お互い強さもトントンですげえ楽しいバトルだったな。始めたのは朝だったのに、気付いた頃には夜になってた。流石に俺達もポケモン達もクタクタで、今日は終わりにして明日また続きにするか、ってユウリと話してたら、ツチニンが急にそわそわし出したんだよ。
ボールに戻そうとするユウリを止めて、様子を伺ってたら、ツチニンは近場の木の幹に登り始めた。ああ、進化するのか。そう思って二人で見守っていた時。
「…あ、手持ちに空きがないです…!」
ユウリの手持ちに空きを作っておくのを忘れてたんだ。俺もその時は6匹連れ歩いていたから空きがねえ、今回はヌケニンは諦めて