春の暖かい日差しが降り注ぐこの場所は、僕だけが知っているとっておきの空間だった。
白に桃色、藤色に浅黄───色とりどりの花々達がまるでお互いにその美しさを競い合うかのように咲き乱れて、広大な平原を色鮮やかな花畑に変えている。
大自然が生み出した美しさ。そして、静寂を破るものは、風に揺れる草花のそよめきが織り成す心地良い音だけ。誰にも邪魔されることのない、僕だけの夢の国。
「───フローラ、どうかぼくを蕾に戻して」
僕はいつもと同じように、花の絨毯に背中を預けて目を閉じながら乞い願った。
フローラ。花を司る女神。
彼女に何度願ったことだろうか。