2
「ほんっとうに!助かりました!」
感謝の気持ちを込めて私は頭を45度へと下げてお礼を言う。
お寺を見つけた私は長い階段を急いでかけ登り今まさにお寺へと入ろうとしていた住職さんを捕まえた。
宿がなくて困っていると伝えた所、快くお寺へと招き入れてくれて泊めてくれる上に囲炉裏の側で暖を取りつつ夕食までご馳走になっている。
本当に感謝しかない。
「ほっほっほっ、まぁそう畏まらずに、顔をお上げなさい」
優しい声音に促されて下げていた頭をそっと上げる。
そうすれば優しげな笑みを浮かべる和尚様と目が合った。
「ーーして、落ち着いた所でそろそろ君の名前を伺っても良いかのう?」
「!」
首を傾げながらそう言った和尚様に私はまだ自分が名乗っていなかった事を思い出す。
あぁ!こんなご馳走にまでなっておいてなんて無礼なっ…!
「す、すみません!自己紹介が遅れました!私、ジュリっていいます」
その場でペコペコ頭を下げながら名乗る。
「ほぉ、ジュリさんというのじゃな」
「はい」
「してジュリさんは何故あのような時間にこんな山奥にいたのかな?」
「…それは」
和尚様に尋ねられ身体が跳ねる。
どうしよう…。
別にやましい事なんて何もない。
だったら正直に話せば良いのだけれども、どうもここにやって来てから感じている違和感が邪魔をする。
悩む私はそっと和尚様の顔を覗き見る。
和尚様は変わらず優しい笑顔を携えて私が口を開くのをただ静かに待っていた。
…きっと大丈夫。
何故かは分からないけどただ漠然とそう思った。
大丈夫、私、勘は良い方なんだ。
「あの、実はーーー」
そうして私は今日自身に起こった事を思い出しながら説明したのだった。
* * * * *
和尚様に一つ一つ説明しながら感じていた違和感は確信へと変わっていった。
「ポケモンが、いない…」
森を歩いている間ずっと感じていた違和感、そう、ポケモンを一体も見かけなかった。
言われてそうかと納得する。