神様のいうとおり(1/3)
「ええー!姉ちゃんバイトなの?!」
「うん、そうなの。だからお祭りは友達と行っておいで」
「えええーーー!!」
夏休みも半分が過ぎた頃、毎年おおもり山の神社では夏祭りが行われる。その日はさくらニュータウン中の子どもたちが、我先にと神社へ駆け込む特別な日だ。
私や景太も、毎年参加していたのだけど…今年に限ってはバイト先のアッカンベーカリーの手伝いが入っていた。
そんな事情を知らなかった景太が、私と行く気満々だったようで…「せっかく楽しみにしてたのに!」とブー垂れていた。そろそろ姉離れしなさいよと思いながらも、それに苦笑を返して、私はポンポンと頭を撫でた。
「遊びには行けないけど、アッカンベーカリーの露店にはいるから、買いにきたらいいよ」
「ほんと?!」
ぱっと目を輝かせて、景太が私を見上げてくる。こういうところは、子どもらしくて可愛らしい。
「うん。お姉ちゃんがカレーパンをおごってあげよう」
「やったーー!」
「良かったですねえ、ケータくん」
「うん!」
両手をあげて、景太は喜んだ。ウィスパーも何だかんだお祭りを楽しみにしているようで、「やはりかき氷ですかね…?!」と妖怪パッドでおすすめを調べている。
遊びには行けないけど、私もお祭りのバイト頑張ろうと思ったのだった。
「へえ、いいこと聞いたな」
そんな呟きは、私たちに聞こえることはなかったのだけど。
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