宵闇エンカウント(1/2)

※オロチ連載設定です
理科の先生=キュウビの描写があります




私が働くアッカンベーカリーには、忙しい時間帯が4回ほどある。

まずは言わずもがな、開店後の朝一番。その日の個数限定商品を買い求めるお客さんが、列をなしてやってくる。出勤前のOLさんが多いのが特徴だ。

次にお昼前。ご近所の奥様方が昼食用に、そして次の日の朝食用として買いにくる。列をなすほどではないが、そこそこに忙しい。

それから三時ごろ。この時間は学生が多い。しかも、小中学生がおやつ感覚で買いにくる。アッカンベーカリーの値段設定はなかなか良心的なため、小学生のおこずかいでも買えてしまうのだ。そういえば先日、景太の友達のカンチくんがクリームパンを買いに来た。「またお会いできてうれしいです!」なんて言ってくれたものだから、私のおごりでカレーパンをおまけしてあげた。あの時の喜びようと言ったら。もう、かわいいよカンチくん!もちろん景太の次に、だけど!

最後は閉店前。この時間は少しでも廃棄処分になるパンを減らすために、値下げをする。だから、その時間を狙ってくる人は多い。特に仕事帰りのサラリーマンや大学生。
*
これらの時間帯は、まさに目もまわるほど「忙しい」。けれど、これを過ぎると、ほっと息をつく時間がやってくる。

現在、閉店前の最後のピークを終えた私は、レジのお金を数えながら緩やかに息を吐いた。

ちらりと時計を見る。閉店まであと10分もない。もう今日はお客さんも来ないだろう。そう思ったときだった。


「まだ空いているかな?」


お金を数えていた手を止めて顔をあげる。入ってきたのは、白いスーツを着た長髪の男性だった。眼鏡の奥の目が、涼やかなイケメンだ。おまけにミステリアス。一瞬見とれた私が、慌てて「いらっしゃいませ」と言うと、お客さんはにこりと笑ってレジへとやって来た。


「キミがケータくんのお姉さんだね?」