ブリー隊長とお姉ちゃん(1/2)

まさかとは思ったんだ。
思っていたけど、現実に目を背けてはいけないとも思ったんだ。だからそーっと、乗ってみたんだけど。


「太った…!!」


春よりも3キロ、増えていた。
どおりで体が重いわけだよ、とお腹の贅肉を摘まんでみる。見事に摘まめるそれをみて、私ははあと思いため息を吐き出した。心なしか足も太い。
原因はわかっていた。アッカンベーカリーのパンだ。貰ったから、と言って調子に乗りすぎた。これではデブまっしぐら…お先真っ暗だ。
誰がうまいことを言えと言った?


「とにかくダイエットだ…!」


もう現実から目を背けない。私は固く拳を握ると、いそいそと体重計をしまったのだった。



「あれ、姉ちゃんもう食べないの?」
「う、うん…」


目の前に用意された夕飯はとても艶やかに、美しい。お母さんのご飯って最高だよね。でも今の私には地獄のようであった。
ダイエットすると誓ってから、私は食事の量を減らそうと思ったのだ。だから、目の前にあるジューシーな唐揚げも、ぷりぷりのエビフライも一個で我慢!…我慢!!

ぐぬぬぬと耐える私に、景太は何かを悟ったらしい。にやーと笑ってから、唐揚げを口に放り込む。そしてごくんと音をたてて飲み込んだ。


「もしかしてダイエット〜?」


ぎくっ。


「姉ちゃん…最近ちょっと丸くなったもんね〜?」


ぎくぎくっ。


「もしかしてお腹のお肉…摘まめちゃうとか?」
「う、うるさーい!小学生のあんたにはわかんないでしょうよ!」


何なの、何なの、この弟!普段は「姉ちゃんすきー」とかいって可愛い子ぶるくせに!今日はやけに意地悪だ。
弟にまで太ったと言われて、私もう泣きそう…


「あはは、ごめん姉ちゃん!でも、姉ちゃんそのままでも大丈夫だよー!だって俺姉ちゃん好きだし!むしろ抱きついたとき気持ちいいし!」
「変態かあんたは…」
「えー?そんなことないよお」


急にデレ始めたので、私は力なく突っ込んだ。景太はにこにこと笑いながら、再び唐揚げを頬張る。ああ、3キロも太ってなければ今頃私だって…!


「ああ…楽して今すぐ痩せたい…」
「そんなに気になるならさ、後でいいダイエット紹介してあげるよ。確実に痩せると思うよ」
「え?!ほんと?!」


突っ伏した顔をばっとあげる。にこりと天使の微笑みで景太は頷いた。


「うん!もちろん!だから痩せたら姉ちゃん、どっかに遊びに連れていってくれる?」
「わかった!いいよ、どこでも連れていってあげちゃう!」
「やったーー!じゃあご飯食べ終わったら俺の部屋来てね!」
「了解!」


やっぱりかわいい弟だ!
でもまさか景太がダイエット方法を知っているとは思わなかった。確実に痩せると言うそのダイエット法って、どんなものなんだろう?妖怪にでも頼むのかな?食欲なくしてーとか、美脚にしてーとか!


「ご馳走さまでした。じゃ、姉ちゃん部屋で待ってるね」
「うん!」


景太のいうダイエットを想像していて、すっかり遅れを取ってしまった。慌てて私も食器を片付ける。
だから気づかなかったんだ。にやり、と景太が楽しそうに笑ったのを。