華麗なるスルースキル(2/2)

「いただきまーす!」
「はい、召し上がれ〜」


席につくと、すぐに夕飯は始まった。ウィスパーは食べないから、いつもどおり景太の側に控えている。ジバニャンは私の膝の上でチョコボーを食べてて、何とも平和な食事風景…のはずだったのだが。


「ム。これは田舎風カレーか?!」
「…田舎風かわかりませんが、家で作る普通のカレーです」
「それを田舎風カレーというのだ。野菜がごろごろしているこの感じ。間違いないブルァ!」


「まあ俺はシティ派だがな」その一言、余計ではないですか?
別に田舎風だろうがシティ風だろうが、私からしたら、「せっかく作ったのだから、ごたごた言わず早く食べてくれ」というのが本音である。「美味しいー!さすが姉ちゃん!」とパクパク口に運んでそういってくれる景太が、今はとてもいい子に見えた。

破怪はその様子を一度見ると、意外にもしっかり手を合わせた。「頂く」。

それからゆっくりカレーを口に運んで言ったのは。


「こ、これは…!!」


何、何?!
まずいの?!やっぱり田舎風カレーまずいんですか?!破怪のスプーンを握りしめている手が震えている。


「この味、この野菜の煮込み具合、完璧だブルァァ!!」


…ああ、そうですか。「野菜にしっかり下味がついていてうまい!これが田舎風カレーか…!」とか感動しているけれど、私はただ普通に市販のルーで作っただけである。確かに煮込むときにコンソメ入れたけどそれだけ。


「三ツ星だ。いいできだぞブルァァ!!」
「破怪うるさいよ!姉ちゃんおかわり〜」
「ああ、はいはい…」


もうすっごく面倒くさい。とりあえず景太のおかわりをお皿によそうため、席を立ち上がる。ところがその瞬間、パシッと手を取られた。見れば破怪が私の手首を掴んでいる。


「え…と?何、破怪もおかわり?」


まだお皿にカレー残ってますけど。訝しげに彼を見下ろせば、破怪は何とも真面目な顔でこう述べた。


「これから毎日、オレのためにカレーを作らせてやろう。嫁に来いブルァァ!」



まさかの上から目線な上にプロポーズ?!


「ちょっとおおお!!破怪何言ってんの?!俺の姉ちゃんに何言ってくれちゃってんの?!!」「七海さんってば、怪魔にまでモテちゃうんですねぇ」「七海ちゃんも大変ニャンねえ」それぞれ好き勝手言ってますけど、私が一つ言うとすれば。


「もう何でもいいからさ、早く食べてよ。片付かないじゃん」



また面倒な人とお知り合いになってしまった瞬間だった。






「オレは本気だブルァァ!」
「はいはい」
「姉ちゃん!絶対嫁になんて言っちゃダメだからね!ね?!」
「はいはい。早く食べなさいよ」
「姉ちゃん聞いてるのー?!」