「爆豪くん、お誕生日おめでとう!」
テーブルを埋め尽くす豪勢な料理と、お祝いの言葉と一緒に渡されたプレゼントは以前欲しいと話した事があるスニーカー。大分前にぽつりと漏らした言葉を良く覚えてたモンだ。
なまえと誕生日を過ごすのはこれで何年目になるだろうか。毎年思う事だが、自分の誕生日の時以上に嬉しそうにされると胸の辺りがむず痒くなっちまう。
料理を一つ残さず平らげた後は久し振りに二人で風呂に入って、温くなったなまえの体を抱いていつもよりも早い時間にベッドに入り込んだ。
俺の首元に鼻を擦り寄せたなまえが、ふふ、と小さく笑い声を漏らす。ったく、そこで笑うな。くすぐってェだろ。
「……なァに笑っとんだ」
「ん……今年も爆豪くんの誕生日を独り占めしちゃったなーって考えたら、何だか嬉しくなっちゃって」
「……何言ってんだか」
「……だってね、爆豪くんのお誕生日をお祝いしたい人が沢山いる中でわたしは特別な1日をこうして一緒に過ごさせてもらって……それって何だかすごく贅沢で、幸せなことだなあって改めて思ったの」
恋人なんだから当たり前だろ、という言葉はぐっと飲み込んだ。なまえの瞳は暗い部屋の中にも関わらず、溜め込んだ光できらきらと輝いている。
''誕生日''という日が俺にとっても特別なモノになったのは、コイツがやたら盛大に祝いたがるからだ。今日は爆豪くんが生まれた日だね、と至極嬉しそうになまえが笑うから、それがどうしようもなく照れ臭くて、気恥ずかしくて。
「……誕生日なんざどうでも良いだろ、」と祝いの言葉を素直に受け止めなかった時期もあったっけな。
なまえから真っ直ぐに向けられる祝福が、この先一年の俺を形作る。来年も、その次の年も、何十年後も。当たり前のように彼女の唇から紡がれる「おめでとう」の言葉が、俺の支えになるのだろう。
「…………サンキュな、なまえ」
俺の口から素直に滑り落ちた感謝の言葉に、なまえが瞳を瞬かせる。その瞳の中で輝く光が暗闇に零れ落ちる前に、なまえの唇に唇を重ねた。啄ばむようなキスを何度か繰り返して、柔らかな瞼をそっと親指で撫でる。ゆっくりと瞳を開けたなまえが俺の顔を見上げて微笑んだ。どうして、コイツがこんなにも愛おしいのだろう。見つからない答えを延々と探しながら、俺はまたなまえにキスをする。
「……ん、爆豪くん、……、」
「ンだよ」
「…………好き、だよ」
「……」
「大好き。……生まれてきてくれて、本当に、本当に、ありがとう」
「…………こっちの台詞だ、バァカ」
生まれてきてくれて、俺と出会ってくれて、共に生きてくれて、ありがとう。
……なんて柄にもない事、言わねェけどな。
0420 happy birthday!