御幸くんがお仕事頑張った恋人を甘やかす
仕事終わりに車で迎えに来てくれた一也と一緒に夕飯を食べてから、二人で愛しの我が家へと帰宅した。家の中に入ってすぐ、くるんと振り返った一也が両腕を広げて「ん」とレンズ越しの瞳を細めて笑う。
「え、なあに?」
「流石に外ではぎゅーってしてやれなかったから、今日も一日良く頑張りましたのハグしてやる、ってこと。ほら、おいで」
「一也、すき……!」
「お……っとと」
迷いなく腕の中に飛び込むとぎゅう、とわたしの体を抱き返してくれた一也が、片手で髪をすくいながら「犬みたいで可愛いなー、お前」と旋毛にふわりと触れるだけのキスを贈ってくれる。一也の甘い香りに包まれて、胸がいっぱいだ。
「今日はご褒美ってことで、特別にスペシャル甘やかしコースな」
「……スペシャルコース?」
「まず一緒に風呂入って体を隅々まで洗ってやるだろー? で、風呂から上がった後は髪乾かして」
「……う、うん」
「んで風呂上がりのアイス食って〜……あ、お前高い方食っていいよ。限定のやつ。後はそうだな。今日は歯磨きも俺がしてやろっか?」
「一也、本気で言ってる……?」
「はっはっは、歯磨きは流石に冗談」
「良かった……歯磨きはちょっと……その、そういうプレイになりそうで……」
「お? お前がその気なら俺はしてやっても良いけど? お前、口の中性感帯だらけだもんなー」
……口内を開発したのは誰だ、と言いたい。
ニシシ、と子供みたいな笑顔を浮かべてとんでもない事を言ってくる一也にこっちが恥ずかしくなってしまう。顔、赤くなってたらやだな。「ばか、」と言って額を胸板に押し付ける。
「馬鹿じゃねーし。ほら、顔隠すなよー」
「……や」
「だーめ。……はは、顔真っ赤。口の中弱いの、図星だもんな。俺に歯磨きされたらすぐ気持ち良くなっちゃうか」
「な、ならない……」
「じゃあ取り敢えず確かめてみる?」
「っ……ん、……」
わたしの両頬を大きな両手が包み込んで、間を空けずに一也の唇がわたしの唇を覆う。
にゅるん、と口内に侵入した舌が『お前はここが弱いんだぜ?』と教え込むように上顎をぐりぐりと刺激してくる。舌で口内を探られながら耳の裏側を指で擽られると、ぞわりとした感覚が足先から背筋の方へと一気に駆け抜けた。
「ん、ふっ……一也、すと、っぷ……」
「ちゅ、ん……ぁー? もうギブ?」
「じゃあ後ちょっとだけ付き合って」一度離れた一也の唇が再びあむ、とわたしの唇を食む。強引に引っ張り出された舌をちゅう、と吸われたらもう駄目。「おっと、」力の抜けた体をしっかりと一也に抱き留められ、わたしは半泣きで一也の顔を見上げた。
うわあ、意地悪な顔してる……。
「上顎ら辺も弱いけど、舌吸われんのが一番好きだよなーって教えてやりたかったんだけど、……はは、やり過ぎた?」
「これスペシャル甘やかしコースじゃなくて、いつもの意地悪コース……」
「悪かったって。ほら、風呂場まで抱っこで連れてってやるから機嫌直して。よいしょ、」
「……何で俵担ぎ……」
「姫抱きをご所望で?」
「……ふ、ふふっ、面白いからいいや、このままで」
「おー。ベッド行く時は姫抱っこしてやるよ」
「ちょ、お尻叩かないでよ、……一也のえっち」
「キスで腰抜かす奴が何言ってんだか」
( この先は二人だけの秘密 )
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