ゆきがふりました

冷たい風が肌を差して、ふわりふわりと白い雪が舞う。一晩で甲板には雪が積もり、一気に気候が冬へと変わる。

雪かきなのか、雪遊びなのか、どちらかは分からないが甲板で騒ぐクルー達をエマは窓からじっと見つめていた。

「まっしろけ…」
「あぁ、そっか。エマは雪初めてか」
「ゆき?」
「そうだぜ〜。真っ白で冷たくてふわふわなのが雪ってんだ」
「つめたくてふわふわ?」

サッチの言葉にキョトンと首を傾げたエマだったが、その表情は徐々に明るくなっていく。

真っ白で、冷たくて、ふわふわで。こんなにも素敵な響き、ワクワクしないなんてこと有り得ない!と心を踊らせるエマはまた食い入るように窓の外を見つめる。

その目が外に行きたいと物語っていて堪らずサッチが声を上げて笑う。

「エマ、外行ってみるか?」
「いいの!?」
「もっちろん!サッチさんが連れてってやるぜ〜!」

バッと音が聞こえるくらいの勢いで振り返ってサッチの足元まで走っていったエマがキラキラと輝いた目をサッチに向ける。あまりにも嬉しそうな顔にサッチが頬を緩めて頭を撫でてやればふにゃりとエマが笑う。

赤色のふわふわコートに白色のもこもこ帽子と手袋、それからマフラー。茶色のふわふわブーツで完全装備のエマを抱いて甲板に出ればひやりと冷たい空気が頬を撫でる。そっと小さな体を降ろしてやれば、ぼすりと雪の中にエマの足が埋まる。

「ゆき!さっちゆき!」
「そうだな〜、雪すごいな〜!」
「すごいね!ゆき!すごいね!」

初めての感覚にきゃあきゃあとはしゃぐエマを近くにいたサッチは勿論のこと、甲板にいたクルー全員が暖かい目で見つめる。

雪の中を走ってみたり、恐る恐る触ってみたり、時には足をもつれさせてひっくり返ってみたり。甲板に響き渡る、小さな子供特有の高い笑い声にクルー達の表情が緩んでいく。

「さっちいいい!」
「うおっ、どーした?」
「あのね、ありがとー!」
「ははっ、どういたしまして」

ぽすぽす、と雪の中にを必死に走ってサッチの元までやって来た小さな体が、サッチの足にしがみつく。にぱっと満面の笑みでお礼を言われてしまえば、ただでさえエマにメロメロなサッチが破顔しないなんてことはない。

初めての雪に大興奮だったエマと同じくらいに目を輝かせてサッチがエマを抱きしめた。

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