兄を助けてくれたという小さな探偵さんを見て「んん…?」と首を傾げてしまった。「な、なぁに…?」と戸惑った顔をする男の子に「どこかで会ったことある?」と尋ねれば「えっ!?は、初めてじゃないかなぁ!?」と言われてしまって益々首を傾げた。
「ホォー、お前は彼のような男がタイプなのか?」と真面目な顔で言ってのける兄を「黙ってて」と睨み付けてコナンくんに向き直る。「兄を助けてくれて、本当にありがとう。どれだけ感謝しても足りないくらいよ」と小さな頭を撫でてからきゅっと抱き締める。
「えっ!?ちょ、お姉さん!?」と腕の中で慌てる小さな体が、兄を救ってくれた。「本当に、ありがとう」と震えた声に気付いたのか、コナンくんはピタリと動きを止めて「ううん。僕、赤井さんには沢山助けてもらってるんだ。だから、僕の方こそありがとう」と私の背中を撫でてくれる。
きっと私の声が震えていることに、兄も気付いている。茶化してこないのは、そういうことだ。けれど兄の前でめそめそ泣いたりはしたくない。そっと体を離して「扱いにくい兄だけど、これからも仲良くしてあげてくれると嬉しいな」と笑えば「あ、はは……」とコナンくんが苦笑いで返してくる。
「俺が仲良くしてもらう側なのか」とくつくつ喉を鳴らす兄に「当たり前でしょ。コナンくんから見たら兄さんなんておじさんなんだから」と振り返って言えば「なら、お前もおばさんだろう」と笑われる。
「んなっ…ほんっとデリカシーが無い!最低!」と兄の膝をグーで叩くけれど兄は何処吹く風で笑っていた。腹は立つものの、兄が生きていたからこそできるやり取りだ。この幸せを失わずに済んで良かったと、ホッと息を吐いた。