赤井家の長女は平和に暮らせないC

「姉さーーん!!」と胸に飛び込んできたのは可愛い可愛い目に入れても痛くない妹。「はいはい、今日も元気ね」と頭を撫でてやればご機嫌そうに「へへっ、久しぶりに姉さんに会えると思ったら昨日は眠れなかったよ」と笑ってぎゅっと抱き着いてくる。

「も〜〜!可愛い!」と真純をガバリと抱き締めれば、小さな頃と同じようにきゃらきゃら笑う声が響く。そして、そんな真純の足元で腕を組んで私を見上げる母を見てへにゃりと笑う。「ママも、久しぶり」と笑えば「ああ、元気だったか?」と母の眦が下がる。

兄が怒られている姿は度々見てきたが、実の所、私は母に怒られたことは記憶にある限り無い。真純から手を離して母の前にしゃがみ込んでぎゅうっと抱き着けば「全く…お前はいくつになっても甘えただな」と笑った母が私の頭を、背中を、とんとんとあやす様に撫でてくれる。

「えへへ、だってずっと会ってなかったから久しぶりに会えて嬉しくて」と頬を緩ませれば「〜〜ッボクも!ボクも混ぜて!」と真純が飛び込んでくる。私と母のことを一緒にぎゅうぎゅうと抱き締める真純を見ながら「私より真純の方が甘えんぼじゃない」と母を見れば「お前も真純も私から見ればさして変わらん」と呆れたように笑っていて思わず真純と顔を見合わせてしまう。

「真純の方が甘えんぼでしょ」「姉さんだって甘えんぼじゃんか」と二人でクスクス笑っていれば母の手が私と真純の頭をぽんぽんと撫でる。そんな小さくなってしまった母の姿を見ながら、先日死んだことになった兄の姿を思い浮かべる。

母からも小さくなってしまったことについては、他言無用だと言われており兄には当然話していない。つまり、私はどちらの秘密も知ってしまっている超重要人物ということだ。ダメだ、全然隠し通せる気がしない。

嘘を吐くのは上手な方では無いし、誤魔化すのも上手じゃない。私が何かを知っていると気付かれませんように、と心の中で手を合わせた。
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