道に、迷ってしまった。道の無いルートを示してくる役に立たない地図アプリを閉じてどうしようかと思ってたいれば「どうしました?道にでも迷いましたか?」と黒髪の女の子が声をかけてくれる。
「えっ、と…まあ、」と当たり障りのない返事をすれば「あー…ごめんなさい。私非番の刑事で。交通課でこの辺よくパロトールしてるから、道案内なら出来るわよ」と肩を竦めて私の警戒を察してくれた。
ホッと息を吐いて「すみません。ありがとうございます。ここに行きたくて…」とお店の場所を伝えれば「ああ、ここ。丁度私もこれから連れと一緒に行くところなのよ。時間に余裕あるなら一緒に行きましょうか?」と提案してくれる。
「お願いします。とっても助かります」と返して彼女の連れが来るまで待つこと数分。「由美たんゴメ〜ン…!遅くなって…って姉さん!?」と現れたのは可愛い弟。当然私も目を見開いて「秀吉!?何でここに…」と驚けば「こっちのセリフだよ!姉さん、由美たんと知り合いだったの?」と首を傾げられる。
「あ、ううん。ちょっと道に迷っちゃって、案内してくれるっていうからお願いしてたの」と返せば「ああ…」と納得したような遠い目をされる。なによ、その顔。そんな私と、秀吉の前で固まった彼女は私と秀吉を交互に見てから「えっ姉弟…?えっほんとに…?」と呟く。
「そう!姉さん、こちら僕の彼女の由美さん!由美さん、こちら僕の姉です!」と秀吉が紹介してくれる。「挨拶が遅くなっちゃってごめんなさい」と頭を下げてから自己紹介をすれば「わ、私の方こそ大変失礼しました…!お義姉さんにとんだ失礼を…!」と由美さんが慌てて土下座する勢いで頭を下げる。
「知らなくて当然だよ。それに、困ってる私を見てすぐに声をかけてくれたの、すっごい頼もしかったし嬉しかったの。ありがとう」と手を差し出せば「〜〜ッこちらこそ、ありがとうございます」とふにゃりと笑っていて可愛らしいなと笑ってしまった。
それから「由美ちゃんって呼んでいい?」と笑った私に「勿論です!」と由美ちゃんが可愛らしく笑う。「あれ、てことはこれからデートするとこだったってことだよね?邪魔しちゃった…ごめん…」と謝れば「全然気にしないでください!」とあっけらかんと笑って返される。
「秀吉…良い子見つけたねぇ」とクスクス笑えば「でしょ!」と嬉しそうに笑うから「大事にしなさいよ」と可愛い弟の頭をぽん、と撫でてあげる。いつの間にか身長がぐんぐん伸びて私よりもずっと大きくなってしまったけれど、可愛い弟であることに変わりはない。
「姉さん一人であの店行くの?」「ううん。待ち合わせ」「え、誰?男?」「誰でもいいでしょ…」「良くないよ。変な男だったら許さないからね」「男じゃないってば。心配しすぎ」「なぁんだ、良かった。姉さんちゃんと女の友達いたんだね」「ちょっとどう言う意味よ、それ」「だって昔から友達なんていらないって言ってたじゃん」「それは昔の話でしょ…今はもう違うわよ…」