すいません、間違えました

いつも笑顔で対応してくれる香澄ちゃんをこっそり良いなと思っていた配達員のお兄さん。大きな重たい荷物を代わりに運んであげようと思ってイキイキしながらインターホンを押したら降谷が出てきて「あっ…すいません、間違えました」って一旦帰ろうとするんだけど間違いじゃなくて首傾げる。

「ああ、すみません。重たいですよね、それ。ありがとうございます」ってにっこり微笑みかけられて「あ、や、平気です、はい…あ、−っと、その、受け取りのサインを…」って明らかに動揺と混乱が入り混じる表情をするお兄さんの気持ちを知ってか知らずか、降谷が綺麗な字でさらさらっと香澄ちゃんの苗字を書くからマジで間違えてないじゃん…って結構ショックを受ける。

「あ、零くんごめんね。受け取りありがとう」って奥から香澄ちゃんの声がして「僕も使うものなんだし、気にしなくていいよ」って降谷が笑って返すから完全に失恋確定。「っしたぁ…」って頭を下げて帰って行くお兄さんを「お疲れ様です〜」って笑顔で見送って扉を閉めた降谷が小さく息を吐く。

あの配達員が香澄ちゃんを狙っていることは分かってて追い払うためにわざと自分が受け取ったけど思いのほか効果抜群だったことが嬉しくてニヤニヤしちゃう降谷がいる。「零くん?どうしたの?」って香澄ちゃんに聞かれても「ううん、何でも」って笑顔で首を振るから香澄ちゃんが気付くはずも無い。

香澄ちゃんに片思いしてた配達員は、謎の圧力によって配置換えされて別区域の配達担当になるし、香澄ちゃんがネットで買い物をする時は降谷の家に一旦届くように設定されるから香澄ちゃんが配達員と関りを持つことはなくなるよ。
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